FRBの金融政策 
<目標>
労働市場が、FOMCが完全雇用と評価する水準に到達し、インフレ率が2%に上昇し、2%を緩やかに上回る状態が当分続くこと。 
長期的に2%の物価上昇率が目標なので、今のような2%を下回る期間が続けば、その後は2%を超える期間が続くことが必要になる。

物価上昇率2%を目標に、デフレに陥らないことを確保
昨年1月29日のFOMC声明文で、物価について、「インフレ率の推移を支える」から、「対称的な物価目標である2%近くでインフレ率が回帰することを支える」に変えた。
数人の委員から「インフレ率の推移を支える」では2%以下のインフレ率で満足しているような誤解を受けるかもしれないとの指摘があったからで、FOMCは「2%の物価目標を下回ってインフレ率が推移し続けることに満足していない」というメッセージを明確に発信するための修正だとした。
FRBは、物価が2%を回復し、再び下落しないことを望んでいることを忘れてはいけない。

<政策>
FRBは新型コロナウイルスだけでなく、その余波で長期間続く可能性の高い景気悪化に対しても、長期的な戦いに取り組んでいる。

第1段階 利下げ 実質ゼロ金利に
第2段階 量的緩和 金融資産(国債、住宅ローン担保証券)を買い入れ
第3段階 フォーワード・ガイダンス 昨年9月16日のFOMCで、2023年まで実質ゼロ金利を示唆
第4段階 そして、市場は、第4段階として YCC(FRBはイールドカーブのフラット化)を期待していた。FRBも「保有資産の構成や残存期間、規模、購入サイクルをシフトすることもできる」としていた。
またパウエル議長は、「追加の財政支援が、適切な時期に議会が適切と考える規模で行われれば、より力強い経済回復につながるだろう」「多くの議員が追加的財政支援の必要性を認識していると思う」とも述べていた。

こうした中で、パウエル議長は、今次上院・下院委員会での議会証言で、長期債利回り上昇について、
「底堅い景気回復に市場が自信を持っている証しだ」と当面は静観する考えを示した。
また、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、最近の米10年債利回り上昇は成長見通しを反映する「妥当な」もので、良好な兆候(インフレ期待の高まりを目指すFRBにとっては「歓迎すべき動向」)と述べた」

そもそも、今や国債の最大の買い手はFedだ。誰が米国国債を買っているか
その気になれば、Fedは長期金利上昇を止めることはできる。その気がないどころか、長期金利上昇を歓迎している。

もはや、市場が期待した第4段階はなくなったということだ。
これが今回の相場調整を起こした背景だ。
しかし、ボスティック米アトランタ連銀総裁の言うように、「FRBの責務は完全雇用。GDPではない」なら、今の金融政策は予定通り維持されよう。しかも、底堅い景気回復となれば、株式市場にとって悪いはずはない。
"stay tuned"