中国の野望は「米国を上回る覇権を確立し、米国に代わる世界の基軸国家としての地位を確立する」ことである。そのためには、基軸通貨国になる必要がある。ドルだけが基軸通貨であれば、何をするにもドルが必要になる。また、中国の保有するドル資産が米国に人質に取られているようなものだ。実際、中国要人のドル資産が凍結の憂き目にあっている。米国が中国にドル取引を禁じるといった金融制裁の恐れもある。(イランやロシアはそれで苦労している)

基軸通貨とは、「貿易がその通貨でなされること、貿易取引で生じた余剰資金がその通貨で保有される」ことである。

元が基軸通貨になれば、米国にドル資産を押さえられても怖くない。というか、ドル資産を持つ必要がない。そして、中国のデフォルトの心配もない。元をプリントすればいいだけの話だからだ。否、世界の余剰資金が集まってくるので、そもそも資金ショートになることがない。

基軸通貨国になるには、圧倒的な貿易取引額が必要だ。また、経常赤字になる必要がある。今のように中国が経常黒字だと、余剰資金で米国債を買うことになるからだ。これでは、ドルが基軸通貨であることを助けているようなものだ。

で、中国は何をしているか?(中国のすることは全て意味がある。共産党が管理しているからだ。)
(1)内需の拡大:国内の消費を延ばし、輸入を拡大し、貿易赤字になることを目指す。
(2)圧倒的な貿易量をRCEPの中で達成する。世界の中で圧倒的な貿易額は、米国があるのは難しい。しかし、RCEPの中ではたやすい。そして、RCEPの中での標準取引通貨が元になることを目指す。
(3)元での決済が容易になること。従来は難しかったが、今は、デジタル人民元が貿易決済などを通じて世界的に普及することを狙っている。
(4)余剰資金が入ってくるために、人民元建ての中国国債を海外投資家が容易に買えるように、国債流通市場を整備する必要がある。これも着々と進められている。人民元建ての中国国債は、ついに、FTSE世界国債インデックスに採用されるようだ
米国や欧州や日本、豪州で中銀が国債を買い入れ、投資家から投資先を奪っている中で、中国が投資先を提供することになる。世界は中国の野望に向けて一丸となっているようだ。

中国の野望が達成されると、台湾など簡単に奪取できる。

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習近平の「思惑」

https://jp.reuters.com/article/idJPL3N2GL42K

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-24/QH6OQJDWX2PU01

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64246240V20C20A9EA3000/

https://www.okasan-am.jp/data/news/3182/report.pdf

https://www.assetmanagement.hsbc.co.jp/ja/individual-investor/news-and-insights/china-insights-october-jp-2020