Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:ISM

ISM製造業指数は歴史的にも高いところにあるが、鉱工業生産増加率は収縮した。
鉱工業生産増加率の収縮は寒波の影響を受けたもののようであるが、どういうわけかISM製造業指数は殆ど影響を受けていない。両者の動きの差はどこにあるのか?
20210317a

両者の動きの乖離が著しかったのは1997年頃である。鉱工業生産伸び率は好調だったが、アジア通貨危機などでISM製造業指数は低調だった。要は、国内景気に比べグローバル経済が弱かったということだ。
今起きているのは、その逆だ。グローバル経済が好調なのに、国内景気が弱いのだ。
かくして、グローバル経済を反映する企業業績はいいのに、国内経済を反映する財政・金融政策は刺激的なのである。そうして株高がもたらされている。国内経済と株価が遊離している。
20210317b

(4a)ISM Manufacturing Prices
ISM物価指数は急上昇している。原材料価格が上昇したことを示している。
ほとんどすべての業種、原材料で値上げを記録した。
物価が今年大幅に上がる可能性を示している。
20210223m

(4b)ISM Services PMI Prices Index
製造業ほどではないが、サービス業の価格塩数も徐々に上昇している。
新型コロナウイルス関連の活動制限措置が緩和され始めたことが背景だろう。
20210223n

(5)インフレリンク債利回りから計算される期待インフレ率
向こう10年の予想平均インフレ率、向こう5年の予想平均インフレ率が上昇している。
市場がそのように考えているということだ。
これ(向こう何年かの予想インフレ率)は足元のインフレ率とは違うが、両者に連動性が見られ、向こう5年(又は10年)の予想平均インフレ率は、インフレ率が上昇していく可能性を示唆している。
20210223o

以上のように、多くの指標が物価上昇を示唆している。さらに、
1月の鉱工業生産と小売売上高データから実質GDP成長率前期比年率を推計すると7.2%になる。
そこへ、1.9兆ドルの追加経済対策を行えば、景気過熱を起こすのではないかということだ。


↑このページのトップヘ