Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:雇用統計

コメントは、別サイトに

1月米国雇用統計 全くの想定外 - Kecofinの投資情報 - GogoJungle

20220204g


全くの想定外。

ISM統計などから、雇用がそそこ堅調なのはわかっていたが、今回は特殊事情により弱く出るはずだった。

それと、今回は、過去に遡って修正がなされている。かなり大幅な修正だ。
これだから、雇用統計の予想は難しい。

今回の結果を受けて、とりあえず、金利は上昇、為替はドル高。
株式市場は消化できていない。そんな想定はしていなかった。
経済成長が(企業収益拡大も)続いている、(物価高を除いて)経済に異変がないということはポジティブかもしれないが、金融引き締めが淡々となされることを示唆するもので、株式相場にとっては半年後を見渡せばネガティブだろう。







事業所調査による非農業部門雇用者の前月比増加数は+199千人。
家計調査による非農業部門就業者の前月比増加数は+476千人。(グラフの赤線)

事業所調査による非農業部門雇用者の前月比増加数はやや鈍ったが、伸びは続いている。
家計調査による非農業部門就業者の前月比増加数は順調な回復。それに伴って、失業率も低下。

20220108a


以下は、米国雇用統計(2021年12月)回復継続 - Kecofinの投資情報 - GogoJungle へ。

非農業部門雇用者数前月比で+19.4万人。市場予想よりかなり低かった。
しかし、
(1)政府部門の雇用が前月に比べ減少した
(2)前月、前々月が上方修正された
(3)そもそも、どれだけの増加が適当なのか明白ではない。民間部門の増加数はコロナ前と比べれば、決して低くない。

また、
(4)賃金上昇率は高かった。
(A)賃金上昇⇒消費増⇒企業売上増⇒賃金上昇・・・ ディマンドプル
(B)賃金上昇⇒コストプッシュ
で、インフレにつながるだけに、高すぎる賃金上昇は懸念材料

(5)失業率は低下

以上で、結局、FRBのテーパリング政策の変更をもたらすものではなかった。むしろ、賃金上昇は懸念材料。



(1)政府部門の雇用が前月に比べ減少した
(3)2021年9月の民間部門の雇用者増加数はコロナ前と比べれば、決して低くない。
20211009a

(2)前月、前々月が上方修正された
20211009b

(4)賃金上昇率は、依然高すぎるだろう。
20211009c

(5)失業率は低下
20211009d

(6)毎月40万人増加が続けば、来年10月にはコロナ前の水準(2020年2月)を超える。
20211009e








FRBにとって、今の雇用状況は金融政策決定に当たってセンシティブな要素ではない。にもかからず、債券相場は大きく動いた。市場はFRBの言うことに飽き飽きしている。


FRBは、雇用水準がコロナ前(2020年2月=152,523千人)に戻るまで金融政策は変えないと言っているので、今回どんな数値が出ようと相場に大きな動きはないだろうと思っていた。5月の非農業部門雇用者数は144,894千人で、コロナ前より760万人も少ない。
しかし、長期金利が大きく低下、株価は堅調、ドル安、金価格は上昇、となった。
20210605a

FRBの金融政策はインフレと雇用状況によって決まるが、長い間インフレは安定していたので、雇用状況がより重要だった。しかし、今は、雇用水準が低すぎる一方、物価上昇率がターゲットの2%を越えているのでインフレの方が重要なように思う。思うが、FRBは物価上昇は一時的と言い張っている。

その低すぎる雇用水準であるが、実態は失業保険給付への300ドルの積み増しや受給期間の延長といったコロナ対策の特例措置で歪められている。
物価上昇率が高くなっているのは一時的かもしれないが、住宅価格の上昇(資産価格の上昇)は放置していていいのかという問題がある。
パウエル議長は、「リーマンショックの時は住宅価格の上昇とともに家計の過剰債務があったが、今回はない」とどこかピント外れなことを言っている。つまり、高くなり過ぎた住宅価格が下落しても、家計の破たんが相次ぐような心配はないと言っているのだが、そんな問題ではない。富裕層以外は住宅が買えないような状態になりつつあることが問題なのだ。

まぁ、住宅価格がどんなに高くなろうと、経済にとって何か問題が?と言ってしまえば、それまでだが。
東京23区内で4月に販売された新築マンションの平均価格は1億180万円となった。到底、普通のサラリーマンが買えるとは思えないが、それで問題が起きているわけではない。但し、住宅ローンの返済や住宅購入資金貯蓄のため、その分消費が抑制はされている。そして、その貯蓄で(銀行経由で)国債が買われ、政府が代わりに消費しているということになる。






米国雇用現場は混乱している。5月の予想はパス。理由は、次の通り。
(1)新規失業保険請求件数と失業保険継続受給者数の関係が混乱している。
(2)4月について、米労働省労働統計局(BLS)とADP雇用統計の整合性が取れていない。
(3)5月のISM製造業景気指数の雇用指数は、前月の55.1から50.9に低下し、昨年11月以来の水準にとどまった。政府の失業保険延長給付の影響。
5月の米製造業景況感0.5ポイント上昇 供給制約続く: 日本経済新聞

米国雇用統計4月データについて、
<参考> ■米4月雇用統計:男女間、人種別、学歴別で明暗分かれる | My Big Apple NY

(1)私は、雇用統計の予想は、基本的に新規失業保険請求件数をベースに予想してきた。
(A)企業が人の採用が活発だと退職者が少なくなる⇒雇用保険申請者数が少なくなる。また、退職者が増えると申請者数が増える、ということで、両者の相関を見ていた。
(B)補完的に、新規請求者数が拡大すれば、それに遅れて(請求が認められて給付が始まるので)雇用保険受給者数が増加するので、時間差をもって両者の相関もチェック。
また、受給者が雇用されると、雇用が決まってから、時間差を置いて受給が止まるので、時間差をもって両者の相関もチェック。

ところが、新規請求者数と受給者数の相関がこれまでにない様相になっている。理由はわかっている。政府の失業保険延長給付の影響だ。
20210602a


(2)4月について、米労働省労働統計局(BLS)とADP雇用統計の整合性が取れていない。
20210602b

(3)5月のISM製造業景気指数の雇用指数は、前月の55.1から50.9に低下し、昨年11月以来の水準にとどまった。政府の失業保険延長給付の影響で、景気動向とズレがある。
20210602c


以上の通りだが、念のため、
新規失業保険請求件数から前月比雇用増加数を推測すると、+1,100千人になる。
受給者数から、その推移の傾向が続くとして、前月比雇用増加数を推測すると、+200千人になる。
全く異なる。全く根拠はないが両者を足して2で割ると、650千人となる。これは市場の予測に近い。
20210602d
20210602e



過去の予想と結果
20210602f






↑このページのトップヘ