Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:米国株


中国株は、米国から締め出され、景気減速(都市ロックダウン)で冴えない。
米国株は、利上げで株価停滞。
日本株は、先行き不透明感から停滞。
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ところが、円換算で見ると、日本株がビリ。中国株より下に来てしまう。
そして、米国株は停滞ではなく、堅調に見えてしまう。株価だけ見ていると、パッとしないが、為替で相場がまるで変わる。
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参考までに、NYダウ、S&P500、Nasdaqを見ると、結局、S&P500が最も良好。
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ドイツも冴えない。
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米国だけ。なんだかなぁ。
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米国株相場を見るには、

(1)米国株相場とEPSの関係
(1a)EPSの予想  ISM  金利の変化(先行指標)
(2)PERと金利の変化
(2a)PERと金利
(3)PERとマネーサプライ伸び率
 本当は、MZMがいいが、発表がなくなったので、M2で代行。
(4)株価=PER×EPS (2)と(1a) (3)と(1a)
以上などで、アプローチする。

その他にも、
(5)GDPとの関係
(6)信用残との関係
などなど、さまざま見方がある。


まずは、(1)米国株相場とEPSの関係 (グラフ参照)
(A)米株相場は概ね、企業業績(EPS)と連動する。
(B)今は、割高感がある。量的緩和が背景。将来の業績を先取りしている。
(C)株価の調整は企業業績(EPS)が悪化した時に起きる。現時点の業績予想が正しければ、上昇相場はまだ続いており、大幅な調整は起きないはず。
(D)このアプローチでは、相場の予想は業績予想にかかっている。一般的な業績予想は概ね図の通りであるが、それでいいのか、ということだ。
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以下は、有料サイト 米国株相場(S&P500)の見方 (1) - Kecofinの投資情報 - GogoJungleへ。



株価は、通常、企業業績と金融政策で決まる。米国において、減益が予想されず、金融緩和の縮小も考えられなければ、株式相場の調整も考えられない。
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・米国株式相場において、弱気相場=大幅調整になるのは、通常、企業業績が後退=減益になるときだ。
・減益になるのは、通常、金融引き締め後になる。
・パウエル議長は、「緩和の段階的縮小の議論開始は時期尚早、経済活動がその段階に達するまで時間かかる、人々が活動を再開しても安全だと感じるまで経済の完全回復あり得ず」と言っている。
〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨 | ロイター
コラム:パウエルFRB議長が進める、前例なき金融政策運営 | Reuters
カナダ中銀との違い
パウエルFRB議長、市場の一部は「やや泡立っている」との認識表明 - Bloomberg
泡立ちの有無にかかわらず、近いうちに超緩和的な金融政策の縮小に動くことはないとの意向を明確にした

上記から導かれるのは「米国株は当分大幅調整はない」ということだ。
勿論、ノーリスクではない。
・現状株式相場はバブルであることは間違いない。不測の事態が起きれば、大幅調整の可能性がある。既に金融緩和・財政拡張は目いっぱいなされており、事が起きても金融・財政面での対処は難しいだろう。なお、不測の事態であるが、不測なので、何かが予想されているわけではない。
・一つ注意しなくてはならないのは住宅価格の上昇だ。持続的な物価上昇局面はないにしても、今の金融緩和を続ければ住宅価格高騰のリスクはあるだろう。
雇用回復が十分でない、インフレはおきていない、しかし、住宅価格バブルが起きたとき、FRBはどうするか?

(1)株価は足元の業績に比べ買われ過ぎている。金融緩和が理由である。しかし、株価が下落しなくても、今の株価のまま3年推移すれば、フェアバリューになるだろう。
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(2)株価は足元の業績に比べ買われ過ぎている=PERが高すぎるということだが、金融緩和を考慮すれば、全く不自然ではない。もっと買われ過ぎてもいいくらいだ。
次のグラフの点線は、株価は現水準で推移し、EPSは予想に沿って拡大していくと仮定したときの予想PERである。
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(3)次のグラフで、2021年以降のEPS伸び率は上記(1)のEPS予想に基づく。今のISM指数の勢いからは、EPSが予想以上になることも考えられる。
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FRBの金融政策 
<目標>
労働市場が、FOMCが完全雇用と評価する水準に到達し、インフレ率が2%に上昇し、2%を緩やかに上回る状態が当分続くこと。 
長期的に2%の物価上昇率が目標なので、今のような2%を下回る期間が続けば、その後は2%を超える期間が続くことが必要になる。

物価上昇率2%を目標に、デフレに陥らないことを確保
昨年1月29日のFOMC声明文で、物価について、「インフレ率の推移を支える」から、「対称的な物価目標である2%近くでインフレ率が回帰することを支える」に変えた。
数人の委員から「インフレ率の推移を支える」では2%以下のインフレ率で満足しているような誤解を受けるかもしれないとの指摘があったからで、FOMCは「2%の物価目標を下回ってインフレ率が推移し続けることに満足していない」というメッセージを明確に発信するための修正だとした。
FRBは、物価が2%を回復し、再び下落しないことを望んでいることを忘れてはいけない。

<政策>
FRBは新型コロナウイルスだけでなく、その余波で長期間続く可能性の高い景気悪化に対しても、長期的な戦いに取り組んでいる。

第1段階 利下げ 実質ゼロ金利に
第2段階 量的緩和 金融資産(国債、住宅ローン担保証券)を買い入れ
第3段階 フォーワード・ガイダンス 昨年9月16日のFOMCで、2023年まで実質ゼロ金利を示唆
第4段階 そして、市場は、第4段階として YCC(FRBはイールドカーブのフラット化)を期待していた。FRBも「保有資産の構成や残存期間、規模、購入サイクルをシフトすることもできる」としていた。
またパウエル議長は、「追加の財政支援が、適切な時期に議会が適切と考える規模で行われれば、より力強い経済回復につながるだろう」「多くの議員が追加的財政支援の必要性を認識していると思う」とも述べていた。

こうした中で、パウエル議長は、今次上院・下院委員会での議会証言で、長期債利回り上昇について、
「底堅い景気回復に市場が自信を持っている証しだ」と当面は静観する考えを示した。
また、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、最近の米10年債利回り上昇は成長見通しを反映する「妥当な」もので、良好な兆候(インフレ期待の高まりを目指すFRBにとっては「歓迎すべき動向」)と述べた」

そもそも、今や国債の最大の買い手はFedだ。誰が米国国債を買っているか
その気になれば、Fedは長期金利上昇を止めることはできる。その気がないどころか、長期金利上昇を歓迎している。

もはや、市場が期待した第4段階はなくなったということだ。
これが今回の相場調整を起こした背景だ。
しかし、ボスティック米アトランタ連銀総裁の言うように、「FRBの責務は完全雇用。GDPではない」なら、今の金融政策は予定通り維持されよう。しかも、底堅い景気回復となれば、株式市場にとって悪いはずはない。
"stay tuned"

米10年金利は1.5%を超えた。
金利上昇を受け株式市場では割高感が意識されやすいハイテク銘柄を中心に売られた。

新型コロナウイルスの感染減少と追加経済対策による景気浮揚への意識が強まり、長期金利は2月に入って上昇が加速した。
Fedは物価上昇を認めつつも、それは一時的であるとか、長期金利の上昇は景気回復に伴う自然な現象とか、その景気よりも雇用が重要(雇用の回復は依然として鈍い)とか、長期金利の上昇は気にせず、金融緩和持続の構えだ。

しかし、市場はパウエル議長の話をそのまま信じてはいない。FRBは23年まで政策金利をゼロ近辺に据え置く施策を維持するとしているが、市場はFRBによる資産購入の縮小に向けた議論のみならず、利上げの前倒しを織り込み始めている。
いわゆる債券自警団の登場かも?
ヤルデニは「10年債利回りは21年末より前に2%に到達しそうだ。22年はさらに上がるだろう」と言っているようだ。

私は、パウエル議長とイエレン財務長官はいいコミュニケーションが取れていると思う。結構、話し合っているのではないか?パウエル議長は孤独ではないと思う。
参考
イエレン、パウエル両氏はフロスを警戒-景気刺激策を推進も
まだ読んでいないが、
イエレン財務長官、パウエルFRB議長を好感する米株式市場

イエレン、パウエル両氏は、長期金利の上昇、ある程度のフロスの破裂は想定済みだ。
私は、雇用の改善が遅れているのは理由があると思うが、とにかく、今の財政・金融政策は継続されるだろう。
株式相場の上昇トレンドは崩れていないと判断している。
ただし、一部のセクターはダメージを受けるかもしれない? あまりに買われ過ぎてきた銘柄だ。それらはNasdaqに多い。Nasdaqフロスはつぶれるかもしれない。
別途、米国株はバブルを検討するが、ここでは当面の話をする。

つまり、NYSE100などは影響は小さいだろう。日本では、NT倍率、バリューグロース比の修正が起きるだろう。

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日本株と米国株 どちらのの方がパフォーマンスがいい?(長期編)

Nasdaqは大きく調整しているが、NYSE100の下落は小さい。

2月25日
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