Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:米国

経済の最終的な目標は、皆が豊かに暮らすこと。
経済政策の目標(一般論)は、経済成長、完全雇用、物価安定、経済のサステイナビリティ(持続可能性)。ここでの経済成長とは、より多くの人が豊かな暮らしをして、そのレベルが上がっていくことだ。
より多くの人が社会にサービスを提供し、その対価(報酬)を受け取り、逆に、その報酬でサービスを受ける状態。未来に大きな不安がない状態。これが健全な経済だ。

なぜ、こんなことを言うかといえば、米国の経済をみていてアンバランスを感じるからだ。

次は鉱工業生産と小売売上高である。どちらも実質(要は量)である。
2015年に何があったのだろう。小売売上高が伸びる一方、生産が減少している。大時価総額テクノロジ―企業(GAFAMなど)のファブレス化が始まったということだろうか?しかし、それでいいのか?
トランプ大統領はそれを是としなかった。しかし、新型コロナで打ち砕かれたようだ。
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生産者物価は鉱工業生産と概ね連動する。80年以降、例外が3回ある。1度目は97年である。米国経済は悪くないがアジア通貨危機で世界経済が停滞した時である。2度目は2012年、ユーロソブリン危機のときである。そして、今回。しかし、今回は前2回と違って、米国の生産が落ち込んでいる中で生産者物価が上昇している。中国経済が世界経済をけん引しているのである。
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米国の生産とISMにもギャップが起きている。生産の前年比はまだ低いのに、ISM指数は高い。背景の一つはファブレス化だと思う。ファブレス化の恩恵を受けたのは中国である。
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何を言いたいのか?米国経済に構造変化が起きていて、経済動向をどう読んでいいのかわかりにくくなっているということだ。
株価はバブル。経済は歪み(distortion)が起きているのではないか?その結果、雇用の拡大は難しくなっているかもしれない。そんな経済は健全ではないのではないか?それが日本経済にも影響してこないか? まぁ、株価には関係のない話なのかもしれないが・・・。

最後に 鉱工業生産と小売売上高から2020年4Qの実質GDPを推計すると、
前期比年率で4.7%。 前年同期比でほぼゼロ(0.3%)だ。
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3月のゼロ金利から、為替相場の決定要因は金利差(金融政策)から実需(貿易収支、経常収支、基礎収支=経常収支+直接投資収支)に変わってきている。

米国の国際収支ベースで、
<貿易収支>
個人消費が大きく持ち直す一方、生産の回復は緩慢で輸入の増加が輸出の増加を上回った。
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<経常収支>
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<基礎収支=経常収支+直接投資収支>
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結局、4月以降のドル安の背景は、
①ゼロ金利政策で金融政策が為替相場の決定要因ではなくなったこと。
②個人消費が大きく持ち直す一方、生産の回復は緩慢で輸入の増加が輸出の増加を上回ったことで、実需がドル売り圧力を高めたこと。

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