今、市場が最も気にしているのは、金利上昇の背景になっているインフレ懸念だ。
市場がインフレ懸念を持っているのは、
(1)ドル安が輸入インフレを起こすのではという懸念。
(2)原油価格の上昇
(3)原油だけでなく、コモディティー全般の価格が上昇していること。
(4)ISM指数のサブ指数の物価指数が上昇している。
(5)インフレリンク債利回りから計算される期待インフレ率が上昇している。
(6)小売売上高などに見るように景気は悪くないが、1.9兆ドルの追加経済対策を行えば、景気過熱を起こすのではないか、ということ。

ひとつずつ確認する。
(1)貿易加重ドル指数前年同期比上昇率
は、物価上昇率に、やや先行して連動する傾向がある。
コアPCE物価上昇率が2%を超えて上昇していくほどのドル安にはなっていないが、物価上昇率が高まっていく可能性があることを示唆している。
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(2)原油価格前年同月比上昇率
米国は車社会である。ガソリン価格が物価に与える影響は大きい。
昨年4月の平均原油(WTIスポット)価格は16.55ドルに落ち込んだ。今は60ドルを超えている。このまま推移すれば、4月の原油価格前年同月比上昇率は262%となる。
全面的に物価に跳ね返るわけではないが、どの程度物価を押し上げるか懸念される。
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(3)米生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)前年同月比上昇率
生産者物価指数は、米国製造業者の販売価格の指数である。
これも、コアPCE物価上昇率が2%を超えて上昇していくほど強くはないが、物価上昇率が高まっていく可能性があることを示唆している。
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以下は、次回に続く