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タグ:為替相場

為替相場 私の基本観 ユーロ>豪ドル>ドル=円  
(1)為替相場はドルの実質金利低下に主導されている。
(2)独10年国債利回りが強含みに推移している。
(3)ドル実質金利の低下は期待インフレ率上昇によってもたらされている。期待インフレ率の上昇は原油高によってもたらされている。原油高は円にとって弱含み材料だ。
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(1)為替相場はドルの実質金利低下に主導されている。
20210519p
20210519q
20210519r
グラフの上げ直しは面倒なので、このままにするが、ドル円のグラフの右目盛りに注意。「実質金利上昇」は「実質金利低下」の誤り。

(2)独10年国債利回りが強含みに推移している。
20210519s

(3)ドル実質金利の低下は期待インフレ率上昇によってもたらされている。期待インフレ率の上昇は原油高によってもたらされている。原油高は円にとって弱含み材料だ。
グラフは省略

米実質金利の低下継続で、固有要因があるユーロや豪ドルは堅調である。しかし、円は固有要因に乏しく、反落した。為替相場は難しい。
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円/ドル
一時の熱狂は収まったが、依然、米国のインフレ懸念が金融相場の最大の材料だ。
従って、為替相場にとって、実質金利(=インフレリンク債利回り)が基本的な相場変動要因になる。

米国の期待インフレ率は依然強く、実質金利(=名目金利-期待インフレ率)は低下気味である。グラフでは右逆目盛。米実質金利低下に伴い、

ユーロは貿易黒字、経常黒字が拡大していることもあって、対ドルで堅調。
20210430a

Aussie(豪ドル)も、資源(銅や鉄鉱石など)価格が堅調で、対ドルで堅調である。
20210430b

円だけが、円高から足元で円安に転じている。
グラフの左目盛は逆目盛になっていることに注意。
20210430c
これは、米国の名目金利が低下したからだ。ユーロや資源通貨はそのようなことはない。
20210430d

円相場を決定づける他の要素(経常収支や資源価格など)に乏しいようだ。
日本は、基礎収支の黒字はコロナ禍による対外直接投資の減少にともない拡大しているが、インフレ懸念もなく(つまり、金利の先高懸念もなく)、固有要因が見当たらないということだろう。

<参考>
米国の期待インフレ率(向こう10年の予想インフレ率の平均)
インフレ率は総合。食料・エネルギーを除くコア物価上昇率ではない。
20210430e



原油価格が反落すると、円高に振れる傾向がある。原油価格下落⇒日本の貿易収支改善⇒円高 という思惑からだ。経験的に、brentが60ドルを割ってくれば、円高が一時的でなくなるかもしれない。
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原油価格反落
・石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が先週、協調減産を5月から段階的に縮小することで合意したのを受けている。
U.S. Oil Dips Below $60 On Renewed Demand Concerns | OilPrice.com
・イランの生産拡大も圧迫材料。米経済が力強く回復し、今年の原油需要が増加するとの期待を相殺する形になっている。
イラン政府は米国がイランに対して発動している制裁措置について全面解除を求めているが、制裁にもかかわらず、すでに中国への輸出を拡大している。
・2015年の核合意の枠組み復活に向け、米国とイランが6日にウィーンで行う間接協議も注目される。
Oil Extends Loss Ahead of Talks to Possibly Revive Nuclear Deal
20210406a


3月のゼロ金利から、為替相場の決定要因は金利差(金融政策)から実需(貿易収支、経常収支、基礎収支=経常収支+直接投資収支)に変わってきている。

米国の国際収支ベースで、
<貿易収支>
個人消費が大きく持ち直す一方、生産の回復は緩慢で輸入の増加が輸出の増加を上回った。
20201219a

<経常収支>
20201219b

<基礎収支=経常収支+直接投資収支>
20201219c

結局、4月以降のドル安の背景は、
①ゼロ金利政策で金融政策が為替相場の決定要因ではなくなったこと。
②個人消費が大きく持ち直す一方、生産の回復は緩慢で輸入の増加が輸出の増加を上回ったことで、実需がドル売り圧力を高めたこと。

今更ながらであるが、為替相場の展開は3月にFedがゼロ金利政策をとってから変わった。
金利差が為替相場に与える影響はなくなった。

となれば、為替相場は、貿易収支、経常収支、それに基礎収支(経常収支+直接投資収支)で決まる。(断定的に書いているが、もちろん、そういう傾向があるという程度のことだ)
なので、為替相場を見るうえで、こうした指標が重要になる。

ユーロの堅調が続いているが、
まず、貿易収支
20201212a
次に経常収支
20201212b

見るポイントは、黒字かどうか、トレンドはどうか、ということである。
トレンドは何とも言い難いが、とにかく貿易収支も経常収支も明確に黒字だ。

非季節調整値の12か月平均で見ると、わかりづらくなる。
なぜなら、Covid19ショックの時、一時的に貿易収支が大きく悪化したからだ。
その影響が12か月間残る。
20201212c
20201212d

実は、注目しているのは基礎収支(経常収支+直接投資収支)だ。基礎収支という概念はあまり聞かない。一時、日本ではやったが、まずはお目にかからない。『基礎収支 経常収支』で検索してもほとんど出てこない(10年以上前なら、それなりにヒットしたはず)。
それでも、為替の需給を捉えるには重要だと思う。

直接投資は季節調整値が発表されていないので、原数値の12カ月平均で見る。
びっくり。ユーロ圏からの対外直接投資は回収気味で、海外からユーロ圏への直接投資が増えているので、直接投資収支のユーロ圏への資金流入が増えている。
20201212e

ユーロ・米金利差の影響力が低下すれば、ユーロが強くなるわけだ。

ちな、日本の基礎収支は
20201212g
これでは、そうそう円高に進まない。





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