Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:期待インフレ率

(4a)ISM Manufacturing Prices
ISM物価指数は急上昇している。原材料価格が上昇したことを示している。
ほとんどすべての業種、原材料で値上げを記録した。
物価が今年大幅に上がる可能性を示している。
20210223m

(4b)ISM Services PMI Prices Index
製造業ほどではないが、サービス業の価格塩数も徐々に上昇している。
新型コロナウイルス関連の活動制限措置が緩和され始めたことが背景だろう。
20210223n

(5)インフレリンク債利回りから計算される期待インフレ率
向こう10年の予想平均インフレ率、向こう5年の予想平均インフレ率が上昇している。
市場がそのように考えているということだ。
これ(向こう何年かの予想インフレ率)は足元のインフレ率とは違うが、両者に連動性が見られ、向こう5年(又は10年)の予想平均インフレ率は、インフレ率が上昇していく可能性を示唆している。
20210223o

以上のように、多くの指標が物価上昇を示唆している。さらに、
1月の鉱工業生産と小売売上高データから実質GDP成長率前期比年率を推計すると7.2%になる。
そこへ、1.9兆ドルの追加経済対策を行えば、景気過熱を起こすのではないかということだ。


期待インフレ率の上昇が続いている。10年期待インフレ率(今後10年間の平均インフレ率の予想)はほぼ2%。これが2.3~2.5%とかになったら、金融緩和姿勢に変更懸念が出て株価調整の可能性が高いと思う。
20210104m

①ドル安(ドルの実効為替レート=ドル指数(DXY)の低下)が続いている。
②期待インフレ率の上昇→実質金利(=名目金利-期待インフレ率)の低下がおきている。
よって金価格が上昇している。
まだ理論値より低いので、パニック的な買いにはなっておらず、つまり、金融不安にはなっていないので、株価が不安定になる状態にはなっていないが、徐々にその懸念が高まっている。
20210104n

今年の相場予想のニュースをいくつか見たが、インフレ懸念に言及したものはない。
私も、インフレの心配はないと思うが、これだけ期待インフレ率が上昇(ドル安、原油高などで)してきているのだから、全く言及しないというのもどうなのかなぁ?

まぁ、私の予想は外れるのが通常で、懸念は懸念で終わるのも通常なので、心配するだけ無駄かもしれないが・・・・

株価はバブル圏に押し上げられている。押し上げたのは、異常な金融緩和(量的緩和)だ。
その前提には、①インフレ懸念はない。一時的に2%を超えても問題ない。2%を超えて上昇を続けていくような懸念がなければ、問題ない。②なので、優先課題は雇用だ。新型コロナ感染拡大前の水準に戻り、3か月で50万人程度の雇用増加が目標だ。

今の異常な金融緩和は少なくとも1~2年は続きそうな雰囲気だ。しかし、インフレが発生すれば話は変わってくる。たとえ金融政策が変わらなくても、市場は金融緩和の転換を催促する。
CPIやPCEデフレータの上昇率が高くなれば議論の余地はないが、そうでなくても、市場の懸念は期待インフレ率に現れる。期待インフレ率は随時チェックする必要があるだろう。
Fedがデータを公表する「Selected Interest Rates - H.15」で、Treasury constant maturities 10-year からInflation indexed 10-year を引けばいい。自分でやらなくても、データ会社のQuandlが次のサイトでやってくれている。
https://www.quandl.com/data/FRED/T10YIE-10-Year-Breakeven-Inflation-Rate

で、状況を見てみると、足許で期待インフレ率(Breakeven Inflation Rate)が上昇している。30年ではほぼ2%に達している。この程度なら静観で気にする必要はないが、引き続き注意。
20201210m

期待インフレ率(Breakeven Inflation Rate)が上昇してきている背景は、(1)ドル安、(2)コモディティー高、(3)企業の景況感が高まっている ことだ。
(1)(2)(3)の背景は、それぞれあるのではなく、中国経済が世界経済をけん引しているということだろう。もはや、世界経済はアメリカが決めるのではなく、中国だということに注意する必要がある。つまり、米国の金融政策も中国経済の影響を受けるかもしれないということだ。

コモディティー価格は高いが、銅や鉄鉱石、どうしてこんなに上昇するのか???
いくら中国経済が拡大していると言っても、それだけでは説明がつきにくいくらい上昇している。
何か裏があるのか?どこかの国の何らの思惑による操作でありませんように。
(ここで、米国でインフレが起きたら、米国経済はひっくり返る。それはとりもなおさず、世界経済の覇権者が変わるということだ。こういうのをうがちすぎた見方と言う。)
20201210n
20201210o




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