Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:日銀のETF買い

日本株相場は、短期的には海外投資家が買えば上がる、売れば下がる傾向がある。それが、半年位前からその関係がおかしくなっている。誰かが押し上げているのだ。しかし、新年度に入ってその誰かがいなくなった気がする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本株相場の決定では、海外投資家の影響力が大きい。
しかし、海外投資家は2015年半ばから傾向的には売り越しが続いている。にもかかわらず、相場が上昇しているのは日銀のETF買いの影響が大きい。なので、日銀が手を引いてしまったら、相場はどうなるのだろうという不安がある。
20210421a
20210421f
(2020年初めの急落は真空地帯の中を突発的に下げたようなものだ。)

短期的(1年くらいまで)には、海外投資家が相場動向を決める傾向がある。
しかし、よく見ると、下げの時は海外投資真の売りに比べて相場の下げが小さいのがわかるだろう。日銀のETF買いの効果である。そして、チリツモで、長期的には上図のようになる。
20210421d

ところが、1年タームで見ると、最近、海外投資家の買い越し額が大きくないのに、相場は大きく上げていた。日銀のETF買いの効果ではない。日銀のETF買いは下げの時、下げ幅を小さくする効果があるだけである。日銀は買い上がりをしない。
20210421e
(このグラフでは、左軸と右軸の0のラインが一致していないことに注意。つまり、海外投資家が多少の売り越しでは、相場は下落していない。日銀のETF買いによる支え効果があるからだ。)

いったいどうなっているのだろう? 誰が買っているのか?
このブログでは何度も取り上げてきた。”謎”である。

とりあえず。今回はここまで。




日銀が異次元金融緩和を始めたのは2013年4月4日である。このとき、ETFの保有を「前年に対して年間1兆円に相当するペースで増額」と決めた。しかし、この程度では話にならず、本格的になったのは、2014年10月31日で「前年に対して年間3兆円に相当するペースで増額」とした。そして、2016年3月15日に年間3兆3,000億円に、2016年7月29日に年間6兆円に相当するペースで増額と増やしていった。2020年3月16日には「年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に」とした。
20201124a

では、
(1)4週程度では、日銀のETF購入効果はそれほど目立たない。
20201124b
20201124c

(2)13週でも、それほど顕著な違いはない。
20201124d
20201124e

(3)しかし、52週まで延ばすと、明らかに違ってくる。日銀効果は明瞭だ。
20201124f
20201124g

(4)さらに長期的に見れば、日本の株式相場は日銀のETF買い無しではありえない
20201124h
20201124i


短期的には、海外投資家が日本株を買えば、日本株相場は上がるし、売れば下がる。
まずは、1週間ベースで。
20201123a
4週間で見ても同様。
20201123b
13週(3カ月)ベースでも同様。
20201123c


「短期で、海外投資家が日本株を買えば日本株相場は上がるし、売れば下がる」のなら、それを延ばしても同じことになるはずだが、実はそうではない。
52週(1年)ベースになると、2012年までは海外投資家が買っていても、日本株相場は下がることがあった。2012年以降は、逆に海外投資家が売っていても、日本株相場は上がることがある。
2012年を境に何か変化があったようだ。日銀のETF買いが始まったからだろう。(また、GPIFの日本株ウェイト引き上げもあった)
20201123d

短期的には海外投資家が日本株相場を動かしているが、実は、長期的には全くそうではなくなっている。海外投資家は売ったり買ったりする額が大きく相場を動かすが、中長期で見ると、売り越しが続いている。海外投資家が完全に相場を支配しているなら、日本株相場も下落を続けるはずだが、そうはなっていない。
20201123e

日銀は海外投資家に比べ売買高は大きくないが、買いのみなので長期的には買越額が積みあがっていく。(海外投資家は、売ったり買ったりし、2015年以降は長期的には売り越しが積みあがっていっている。前にも書いたが、2015年以降の逆オイルショックでオイルマネーが日本株を売り続けている)
日銀の買いが海外投資家の売りを支えているということだ。

日銀のETF買いがなければ、TOPIXは600まで低下していたかもしれない。つまり、5年間で日銀はTOPIXを1,000ポイントも押し上げたということだろう。日経平均では13,000円くらいの相当しようか。もっとも、日銀が買ってくれるので海外投資家が売っていた面が大きいので、日銀が買わなければ、ここまで海外投資家は売らなかっただろう。TOPIXが600まで下がれば、そもそも海外投資家だって売らないだろう。また、逆張り志向の個人は買ってくるだろう。年金だってリバランス買いを入れるだろう。なので、「日銀のETF買いがなければ、TOPIXは600まで低下していたかもしれない。」ということはない。しかし、日銀が買い支えたのは間違いない。

↑このページのトップヘ