Kecofinの投資情報

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タグ:日銀

海外投資家が短期の日本株相場を動かしているというのは、前回にも書いた。
その時、海外投資家の日本株投資として、現物+先物 とした。
先物が現物と独立しているなら先物は関係ないはずであるが、先物売買は現物動向に反映する。
海外投資家の先物売買は、回り回って最終的に、証券会社の自己に反映してくる(証券会社はカウンターパーティーになり、現物市場で裁定売買を行う)。
証券会社の自己売買は、①海外投資家の先物売買との裁定売買、②日銀のETF購入に伴うETF組成のための株式購入、③その他(場外取引を取引所取引で処理・カバーする)の3種類だろう。今は、①②が特に大きく恒常的だと思われる。
よって、「証券会社の自己の買い≒海外投資家の先物買+日銀のETF買い」となり、式の変形により、 「海外投資家の先物買≒証券会社の自己の買い-日銀のETF買い」となるだろう。次のとおりである。
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ということは、海外投資家の現物買い+先物買い+日銀のETF買い≒海外投資家の現物買い+(証券会社の自己の買い-日銀のETF買い)+日銀のETF買い≒海外投資家の現物買い+証券会社の自己の買い となる。
上記したように、証券自己にはその他の相場に影響を与える重要な取引も入っていると思われ、海外投資家の現物買い+証券会社の自己の買い は相場を決定する需給になるだろう。
つまり、日本株の需給においては、海外投資家の現物買い+証券会社の自己の買い が決定的なものになるだろう。
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以上は、かなりテクニカルな話だ。一般には関係のないことだ。

最後に、話は前回に戻って、
実は、海外投資家は52週(1年)では、過去最大に売り越した時で、約14兆円だ。日銀は上限年12兆円のペースで買うと宣言している。つまり、海外投資家と日銀を合わせて、買越額が1年でマイナスになる可能性は極めて低い。ということは、短期的にはともかく、1年のベースでは株価は下がらないということだ。
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株価が3番目のグラフで赤線から上に大きく乖離していない限り、日銀が12兆円買うという宣言を降ろさない限り、長期的(1年以上)には株価は下がる可能性は低い。
なんだか、日本株は安心して買える気がしてきた。

1年というベースでは、日銀のETF購入効果は結構ある。
赤線は「海外投資家の日本株現物・先物買越額(52週計)」である。最近は(一時期を除いて)かなりの売り越しが続いている。
青線は「日銀によるETF購入額(52週計)」である。
黒線は両者の合計である。日銀が海外投資家の売りをカバーしており、両者合計では殆どマイナスになっていない。
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しかし、短期的(ここでは4週計)に見ると、日銀の買い効果はほとんど見えない。
赤線(海外投資家売買動向)と黒線(日銀+海外投資家 売買動向)は殆ど同じに見える。
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やはり、以前のように、年6兆円程度をコンスタントに買っていく買い方では、短期的に動きの大きな海外投資家の売買をカバーできない。

しかし、今は上限が年12兆円になった。しかも、『市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動しうるものとする』とし、ほぼ自由だ。これは、いざとなれば、大きな金額をつぎ込める。これは心強い。
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グラフを見ても、海外投資家の売りは大きくても、4週計で約4兆円である。今なら、日銀にその対応力はある。
参考のため、今年度(4月1日~10月29日)の日銀ETF購入額は4兆179億円。年に12兆円が上限なので、残り5カ月(11月~来年3月)でおよそ8兆円の買い余力がある。
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日銀に加え、2020年9月30日~2020年11月16日までNTTによるドコモの公開買付、約4兆円がある。取引所の取引として計上されないが場外支援となる。6週で4兆円は大きい。

需給面では、日本株は大きな見方がいる。日銀は相場を押し上げるつもりはないが、下支え効果は十分に期待できるだろう。

<日銀の金融政策>
ETFについて、年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に買入れを行う。
原則的な買入れ方針としては、保有残高が年間約6兆円円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動しうるものとする。

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