Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:日本株

気が付いたことのメモ
なお、今回の内容は、証券自己に関する過去のブログの延長上にある。

昨年度末に証券が自己で大きく買った株を、新年度に入って売ってくる可能性がある。これを、海外投資家が受けなければ、日本株相場は大きな下げになる可能性がある。下げれば、年金や個人が買ってくるだろうが。
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謎の自己の買いだが、
自己≒裁定取引によるもの(海外投資家の先物が多い)+日銀ETF買い+その他
だが、裁定取引と日銀ETF買いについては、謎ではない。
なので、その他≒自己-裁定取引-日銀ETF買い
を見てみると、
20210408a

(1)この現象は、時々起きているようだ。特に年度末に多い。
(2)しかし、今年ほど大きかったことはない。
(3)2020年後半の買いは、4兆円TOB〆後に市場で売られたドコモを買ったのだと思う。これはそのままNTTが引き取ったので、反動はなかった。
ドコモの4兆円TOBはどこに消えたのかと思っていたが、相場を支えるのに大いに貢献したようだ。かつ、日銀のETF買い出番を無くすのに役だったようだ。
参照 外人支配が崩れた日本株相場
(4)2019年年度末(2019年3月28日がピーク)にも同様のことが起きている。しかし、新年度に入って大きな巻き戻しが入っている。今年も同様なら、ここから自己の大きな売りが出ることになる。
(5)これを、海外投資家が受けなければ、大きな下げになる可能性がある。下げれば、年金や個人が買ってくるだろうが。
(6)なお、証券自己のその他は、通常売り越しになる。場外で引き受けた玉を市場で売りに出してくるからだ。個人も同様だ。

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4月8日 3月29日~4月2日の週の投資部門別売買状況が発表された。
まだ、前年度が入っているので、新年度の動きは見えない。
ただ、海外投資家は先物で大きな売りを出していた。
しかし、注目の自己は買い越し。4月に入ってどうなっているのだろう?
やっぱり、来週発表データを見たい。






依然として海外投資家が大きな影響力を持っていることに変わりはないが・・・

昨年半ばまでは、日本株相場は、3か月程度の短期的には、海外投資家が買えば上がる、売れば下がるという状態だった。これは、日本の不動産バブルが崩壊後の1994年ごろから続いている。
しかし、昨年半ば以降、海外投資家の買いがあまりなくても相場は上がるようになった。特に、足元でそういう状態が見られる。
20210402a

これは日銀のETF買いによるものだろうか?
日銀のETF買いは1年を通せばそれなりにあっても、1回当たりの購入金額はそれほど大きくはない。
長期的(1年)に相場を支える力はあっても、短期的に相場を動かす力は大きくない。
20210402b

では、足元で、海外投資家の買いが大きくないのに、相場が上昇しているのはどういうことだろうか?
相場を押し上げているのは、証券自己の買いである。
証券自己は、海外投資家の先物買いや日銀ETF買いなどを反映するが、今回は、それ以外の要素が大きい。何度も書くが、謎のそれ以外の要素が日本株相場を押し上げている。
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東証が発表した投資部門別売買状況
外人が売った、個人が買った、などという話ではない。
証券自己勘定が最大の買い手だ。証券が自己のリスクで株をこんなに買うわけはないから、後ろに誰かいるわけだ。
それは誰だ?
新年度に入ると、状況は変わるのだろうか?
その正体に大いに興味がある。

20210401a

4週平均で見ると、証券自己の買いが鮮明だ。
20210401b

日本株相場は、海外投資家と証券自己の買いで決まる。最近は、証券自己の買いが大きくなっている。自己≒海外投資家の先物買い+日銀のETF買い+その他 であるが、その他が大きくなっている。つまり、その他が日本株相場を押し上げている。
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東証発表の3月第3週(15日~19日)の投資部門別(日本株)売買動向では、
海外投資家は4088億円の買越。先物で1543億円の買越。
証券会社の自己は6081億円の買越。
個人は3186億円の売越。
年金基金資金を扱う信託銀行は2222億円売越。
投資信託は2621億円の売越。これは過去最大だ。
20210325a

重要なのは海外投資家と証券自己だ。両者の合計が相場を決める。
両者の合計がプラスであれば相場は上を向いているし、マイナスであれば下落方向を向く。
20210325b

3月第3週までの13週(=3カ月)での自己の買越額は過去最大になった。
これが相場を押し上げている。
自己≒海外投資家の先物買い+日銀のETF買い+その他
であるが、通常は「その他」はそれほど大きくないが、今回は異常に大きい。
前回も書いたが、この「その他」が日本株相場を押し上げていると言っていいだろう。
20210325c

残念ながら、「その他」の正体がわからない。
日銀によるETF購入は激減しているが、この謎の「その他」がその代わりになっている。
逆に言えば、謎の「その他」が日本株を大量に買っているので、日銀の出番がなくなっているともいえる。
20210325d

大いに興味をそそる謎の「その他」




銀行や保険は米国金利との連動性が高い。今日の日本株相場は全面安なんだけど、昨日今日の銀行株の下げは米国金利の低下を反映しているようだ。

今日の相場の下げは、欧州の新型コロナウイルスの感染再拡大・ドイツのロックダウンが背景にあるが、香港やミャンマー、米中対立の激化もあるだろう。特に、アジア株が嫌われていそうだ。

米中対立はバイデン政権でも激化必至、世界経済へのダメージはコロナより深刻? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
・米国・EU・英国・カナダが22日、対中制裁発表
・米国は17日、香港自治法に基づく制裁を発表
・18日、米中会談は非難の応酬
株式市場の関心は、新型コロナウイルスから米中対立に移っていくと考えられる

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今日(3月24日)の日本株相場は、まぁ全面安なんだけど、銀行株の下げについて。
どの銀行でもいいけれど、株式会社三井住友フィナンシャルグループ (8316)を例にとる。

銀行や保険は金利との連動性が高い。

以前は、対TOPIX 比と日本金利との連動性が高かった。
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そして、2016年11月9日米大統領選でトランプ氏勝利が伝えられるまで日本金利と米国金利は連動していたので、上記は、米国金利と連動性が高かったとも言える。
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その後は、どういうわけか、市場との相対ではなく、株価そのものが米国金利と連動するようになった。それも、(5年や10年金利とも連動するが、)30年金利との連動性がより高い。
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で、直近部分を拡大すると、
(直近だけなら、10年も30年も同じなので、10年を使う)
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昨日今日の銀行株の下げは米国金利の低下を反映しているようだ。

最後に、銀行株と生保株の動きとは似ている。
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