Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:投機筋

(1)円/ドル
投機筋の円買いポジションは2週に渡って急減した。円高に賭けるのは危険だということだろう。しかし、円売りも減少しているし、円安にバリバリに賭けているわけでもない。投機筋の動きが読みにくい。
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ここまで円買いポジションが縮小すると(歴史的にも最低レベル)、逆にここからは円買いが起きやすい。もう一度言う。投機筋の動きが読みにくい。
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(2)米債
米国債先物には、2年物、5年物、中長期物(残存6.5年~10年)、10年物(残存10年)、長期、超長期の6種類ある。
最も取引量が多いのは中長期物(残存6.5年~10年)である。
参照 Most Active Futures - Barchart.com

債券先物も買い持ちが、昨年暮れから急減しており、ここ数年では最低レベルのポジションになっている。一方、債券の売りは特に増やしているわけではない。
債券の買い持ちはリスクが高いと考えているが、金利上昇に賭ける気は強くないようだ。
こうしてみると、円ドルでも債券でも「リスクから逃避」というスタンスのようだ。
今は、それが一段落している。今後どう出てくるか読みにくい。
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(2)米株
株も何種類かの先物があるが、最も取引量が多いS&P500miniを見てみよう。
売り持ちが低い水準だ。ロングポジションはやや高水準。これでいくと、投機筋は米株にやや強気と言うことだ。
逆に言うと、今後、ショート(株売り)は積み上げやすいし、ロングは縮小させやすいということだ。
但し、数年前から投機筋はポジションをとるのに、先物ではなく、ETFを使っているようだ。売るときは信用売りだ。その統計はない。
ETFの空売りポジション(投機筋以外も含む合計)はBlommbergなどで分かるが、あいにく筆者は持ち合わせていない。
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以上のように、為替にしろ、債券にしろ、株にしろ、その動向を投機筋の動きから読むことは難しくなっている。






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米国投機筋の国債先物のポジションを見ると、今年に入って、急に米国債に強気(金利低下見通し)になったようだ。

米国長期金利の動きが理解しにくい。長期金利は予想される今後の短期金利の平均になるので、今の長期金利は、FRBが何が何でも今の金融政策を持続し、しかもインフレが続かないと市場が見ているということだ。
あるいは、米国の長短金利が比較的広がっていることから、米国のインフレ懸念には目を瞑り、海外(特に日本)から為替ヘッジしての米債投資が起きているかだ。

テクニカルな要因(投機筋のポジションがスクイーズされるなど)はないと思う。

米国債先物の投機筋のポジションについて、
米国債の先物は、米国債2年物、5年物、10年物、長期、超長期の5種類あり、CBOT (Chicago Board of Trade) で取引される。10年物の取引量が最も多い。
それぞれについて、オプションもある。
CFTC (The U.S. Commodity Futures Trading Commission=米商品先物取引委員会)が投資部門別にそのポジションを集計している。
現在は、2種類あり、一つは昔からある商業(実需)部門と非商業部門(投機筋)などの区分によるもの、もう一つは、ディーラー、投資顧問、ヘッジファンドなどの区分によるものである。
(注)ディーラーとは主に証券会社、投資顧問とは年金や生保など、ヘッジファンド(投機筋のメイン)とはCTAなどである。

というわけで、ポジションも種々あるが、①投機筋の米10年国債の先物とオプションのcombine(混ぜ合わせる)したポジションと、②ヘッジファンドの米10年国債の先物のみのポジションを見てみる。


①投機筋の米10年国債の先物とオプションのcombineしたポジション
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②ヘッジファンドの米10年国債の先物のみのポジション
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参考まで、トレーダーの米10年国債の先物のみのポジションは、
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以上に見るように、短期筋(要はヘッジファンドなど投機筋)は、ポジションをスクイーズされるような状態ではない。
投機筋は、今年に入って、急に米国債に強気(金利低下見通し)になったようだ。
FRBが何が何でも今の金融政策を持続し、しかもインフレが続かないと見ているということだ。



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投機筋の円ドルのポジションは、大幅なネット(円買ー円売)ロングからショートへと巻き戻してきたが、レジスタンスレベルにきている。
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念の為、相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。
投機筋のポジション動向はあくまで参考情報。投機筋の後追いをしないように注意する必要がある。
そもそも、その投機筋も相場の後追いをすることが多い。そして、彼らもしばしば間違う。
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円/ドル
今回は説明は省略するが、注目するのは、円ショートポジションだ。
直近(先週火曜日)では、円ショートポジションは、一応の水準まで来ている。この水準をあっさり抜けるとは思っているが、一応要注意。
2012年暮れに抜けたのは、11月14日に野田当時首相が解散表明を予告したからだ。次の政権で大金融緩和がなされることがわかっていたが、それがかなり確かなものになった。(日本側の事情)
2016年に抜けたのは、11月11日、トランプ氏が大統領選で勝利したからだ。米国の財政拡張が期待された。(米国側の事情)
今回抜けそうなのは、バイデン大統領の200兆円規模 の経済対策があるからだ。

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(グラフの最後は先週火曜日)

ユーロ/ドル
ユーロの場合は、ユーロ・ロングのポジションの反転は始まったばかりだが、いかんせん相場の方が前のめりになっている。
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3月23日時点で、円/ドルはショートが急拡大、ユーロ/ドルはユーロ安方向だが、ユーロ・ロング解消にはためらいがあるようだ。豪ドル/ドルは全く方向感がない。
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円/ドル
ショートが急速に拡大している。方向は円安。
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ユーロ/ドル
方向はユーロ安だが、ユーロ・ロング解消にはためらいがあるようだ。
私は、これはユーロ圏の経常黒字が拡大しているからだと思っているが、ドルを嫌いなのかもしれない。決済通貨としてのユーロの地位が高まりつつあることも理由だろう。
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豪ドル/ドル
全く方向感がない。
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念の為、相場は投機筋のポジション動向で決まるわけではない。あくまで参考。
また、投機筋の後追いにならないように。その投機筋も相場の後追いをすることが多い。
そして、彼らもしばしば間違う。

オーストラリアドルAussie/US ドル
ユーロと円以外は、投機筋のポジションで相場動向を計りにくい。

いわゆる投機筋(非商業部門)のポジションも小口投機筋(非報告部門=主に個人)も、豪ドル安への転換を期待しているようだ。
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なお、全てのグラフはグラフは3月16日(火)まで
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投機筋の為替ポジション(シカゴIMM通貨先物ポジション
<参考>【最速更新】シカゴ投機筋IMMポジション推移【FXに活かす】


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