Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:実需

今更ながらであるが、為替相場の展開は3月にFedがゼロ金利政策をとってから変わった。
金利差が為替相場に与える影響はなくなった。

となれば、為替相場は、貿易収支、経常収支、それに基礎収支(経常収支+直接投資収支)で決まる。(断定的に書いているが、もちろん、そういう傾向があるという程度のことだ)
なので、為替相場を見るうえで、こうした指標が重要になる。

ユーロの堅調が続いているが、
まず、貿易収支
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次に経常収支
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見るポイントは、黒字かどうか、トレンドはどうか、ということである。
トレンドは何とも言い難いが、とにかく貿易収支も経常収支も明確に黒字だ。

非季節調整値の12か月平均で見ると、わかりづらくなる。
なぜなら、Covid19ショックの時、一時的に貿易収支が大きく悪化したからだ。
その影響が12か月間残る。
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20201212d

実は、注目しているのは基礎収支(経常収支+直接投資収支)だ。基礎収支という概念はあまり聞かない。一時、日本ではやったが、まずはお目にかからない。『基礎収支 経常収支』で検索してもほとんど出てこない(10年以上前なら、それなりにヒットしたはず)。
それでも、為替の需給を捉えるには重要だと思う。

直接投資は季節調整値が発表されていないので、原数値の12カ月平均で見る。
びっくり。ユーロ圏からの対外直接投資は回収気味で、海外からユーロ圏への直接投資が増えているので、直接投資収支のユーロ圏への資金流入が増えている。
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ユーロ・米金利差の影響力が低下すれば、ユーロが強くなるわけだ。

ちな、日本の基礎収支は
20201212g
これでは、そうそう円高に進まない。





通常、為替相場は資本動向で決まる。
金利の高い通貨にキャリートレードの形で資金が流れ、何かリスクが発生すると、リスクオフ というか、risk-averseでポジションの巻き戻し(unwind)が起きる。そして、リスクが低下すると、再び高金利通貨に資金が流れる、の繰り返しだ。

勿論、為替相場がそれだけで決まるわけではない。
最近は、ドルの金利も低下し、キャリートレードが行われにくくなっている。
では、何が為替相場を決めるのか?

長続きするかどうかはともかく、にわかに出てきたのが実需(貿易収支や所得収支、直接投資収支など)である。
バイデン政権になると、再び自由貿易に舵が切られるのではないかということだ。TPPへの参加もという話も出てくるくらいだ。

トランプ政権では、生産の国内回帰*を目指し、貿易収支を改善することが目標だった。高い関税を課したのそのためだ。しかし、この政策が巻き戻されるのではと市場は考えているようだ。帰結は、再び貿易赤字が拡大し、つまり、実需のドル売りが起きるということで、金利差要因が小さければ、ドル安に進むだろう。

*私の考え 中国がやったように、パナソニックを米国に誘致し(税などの特典を与えて)、テレビや白物家電などを作るようにすればいいのではないかと思うのだが。・・・・トランプならできたはずと思うのだが?

米国の貿易収支を見てみよう。
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1986年、米国の対日貿易赤字のGDP比が1%を超え大問題になった。トランプ政権は対中貿易赤字のGDP比も1%以内に抑えたかったはずだ。それは、徐々に進んでいるようだった。
また、米国の貿易赤字のGDP比の拡大も一応止まっていた。
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それが、バイデン政権では再び拡大するかもしれないということになれば、ドル安に進もうということだろう。

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