Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:実効為替レート

物価が気になるのは、
(1)所得が増えないのに、物価だけ上がるのは心配だ。
(2)物価が上昇し始めると、金利が上がるのではないか?
 (A)住宅ローンを変動で借りている人は多い。将来の返済が不安になる。
 (B)国の借金が多い。財政は大丈夫なのだろうか、と不安になる。
(3)今回の物価上昇は、利上げして需要を抑制しても効果がないのではなかろうか?利上げの目的は需要抑制ではなく、円高を促し輸入物価を押し下げることである。

まぁ、以上はとにかく、今回も参考までに、為替相場と物価の関係を概観する。

最初に、物価との関係では、ドル円ではなく、(貿易は全てドルで行っているわけではないので)実効為替レートである。

で、実効為替レートはドル円ほどダイナミックには動いていない。
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為替相場の変動が物価上昇率に反映するのは1年かかる。その意味で、日本の物価が上昇し始めるとするなら、4月頃からとなるが、過去を見ると、円安になっても必ずしも物価が上昇するということはない。
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グラフの物価は、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」。日本で通常使われる「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」とは違う。加工食品も除いている。
また、2021年の携帯料金の変動の影響も調整している。

となれば、利上げはどうなのだろう?
日本の物価上昇はエネルギーと食品だ。利上げで対処するのは違うかもしれない。











前にも取り上げたことがある。

最初に、昨年の相場は株にしろ、為替にしろ、コロナ前とコロナ後(米国のゼロ金利後)に分けて考えなければならない。
株の投資部門別売買動向でも、年前半は自社株買いが好調だったが、後半になって縮小してしまった。むしろ、売り気味になった。

ドル円は円高である。しかし、円の実効為替レートは円安である。
ドルに対して円高であったが、ユーロや豪ドルなどその他通貨は円よりさらに強かったということである。背景は、日本の基礎収支の改善が鈍かったということだ。(以前のブログ参照)
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期間を延ばして
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コロナ後は、ドル安、円安、ユーロ高。
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実効為替レートで俯瞰的に見てみる。
新型コロナ感染拡大以降は円安に進んでいる。円安だが、ドルも下落している。円安&ドル安だ。
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ドル/円で見ると、新型コロナ感染拡大以降は円高だ。
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要は、ドルや円以外の通貨が概して強かったということだ。
ユーロや元などが堅調だったということだ。
ユーロがイマイチすっきりしないが、元は中国景気堅調を反映している。それに伴い、豪ドルもつられている。
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結局、今年のハイライトは中国経済がひとり気を吐いたということだろう。
株高の背景の一つである企業マインド堅調の要因にもなっている。コモディティー(ベースメタルなど)も高い。

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