Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

タグ:グロース

米国で、金融緩和(FRBが言っている)・景気回復(経済対策により)は持続するので株価の強気相場は続くだろう。
しかし、少なくとも一時的インフレが起きるのは市場のコンセンサスである。その後は、わからない。

連銀は景気の過熱、住宅価格バブルを抑えるためにも長期金利の上昇は容認している。

そうした中で、株式市場はグロース株(成長株)からバリュー株(割安株)・ディフェンシブ株へのスィッチを進めている。
<参照>
ディフェンシブ株・バリュー株・グロース株・クオリティ株とは? | 投資塾~今から始める株のお話~

長期金利が上昇するならPERの調整が起き、高PERのダメージが大きくなりそうだからだ。

この傾向(長期金利の上昇と割安株の巻き戻し)は世界的に起きているようだ。
当分続きそうだ。

TOPIX500バリュー株指数は、昨年来の高値を更新した。
20210309a

TOPIX500バリュー株指数/TOPIX500グロース株指数 の比は急速に巻き戻しが起きている。
20210309b

では、バリュー株とは、具体的には何か?
東京証券取引所の資料「TOPIX スタイルインデックスシリーズ」にも具体的銘柄は書いていない。状況によって変わるからということもあろう。
資料によれば、TOPIX500バリューは344銘柄、TOPIX500グロースは278銘柄。ということは、122銘柄はバリューでありグロースでもあるということだろう。
東京証券取引所情報サービス部(電話: 050-3377-7754)に聞けば、教えてくれるかもしれないが、常識的に考えると、バリュー株は、伊藤忠商事のような商社(そういえば、ウォーレン・バフェットも買ったようだ)、三菱UFJフィナンシャル・グループのような銀行株、トヨタ、デンソー、それに、日本電信電話、日立製作所、三井不動産のような不動産株、電力、ガス、鉄道などだろう。ソニーや東レなどは両方に入るのだろな?

次に、グロース株とは、具体的には何か?
これも常識的には、東京エレクトロン、エムスリー、日本電産、キーエンス、任天堂、ファーストリテイリング、信越化学などだろう。
ソフトバンクグループ、ソニー、武田薬品工業などは両方に入るのではないか?

<参考>
株価指数リアルタイムグラフ - TOPIX 500 バリュー | 日本取引所グループ
株価指数リアルタイムグラフ - TOPIX 500 グロース | 日本取引所グループ


限りなく、プロフィットテイクぽい
株式市場から退散したわけではないようだ。
パウエル議長が長期金利上昇をよしとした、日本も同様になりそうだ。
米国でこれまで上げてきて高PERになっている銘柄の利食いが出ている。
日本でも、ひとまず高PERのグロース株を利食っておこう。ということだろう。

JR東海(9022)は22日、2021年3月期の連結純利益が従来予想(1920億円の赤字)から赤字幅が拡大し、2340億円の赤字(前期は3978億円の黒字)になりそうだと発表したが、株価は上昇。
<東証>JR東海が続伸 今期最終赤字拡大も、鉄道利用回復に期待
JR東海 赤字拡大2340億円 東海道新幹線 利用者減少
決して全面安という状況ではない。概して時価総額が大きくなった銘柄、高PERの銘柄が売られているのだろう。そういう意味では、TOPIXや日経平均という指数はこの先ちょっと辛いかもしれない。

今日も、グロース株の下げは大きかったが、バリュー株の下げはそれほどでもない。
果たしてこれが続くのか? 
バリュー株の復活は、パウエル議長が23日の米議会証言で述べたように「ワクチン接種によって、米経済が今年後半にはより正常な状態に戻る希望が出てきた」と信じるかどうかだろう。
20210224p
20210224q






ファイザーショックで、これまでの傾向に反転して、バリュー株(value 割安株)のパフォーマンスがグロース(growth 成長株)株を上回り始めた。
これはいつまで続くのだろう?

(1)米国株と日本株
日本企業の海外進出が進むにつれ、日本企業の業績が国内経済に左右される時代から、世界経済に左右されるようになった。それに従い、日本株のパフォーマンスも、海外市場とほぼ同様になった。米国株との違いは、いわゆるメガ・キャップ・テク・ストックス、FAAMGがあるかないかだ。FAAMGを除けば、日本株のパフォーマンスは米国とも遜色はない。
これについては、2020年11月07日 日本株堅調の背景を参照。
20201111a

(2)Nasdaq100とNYSE100
FAAMGを中心とするNASDAQ100とFAAMGを含まないメジャー企業で構成されるNYSE100を比べると、両者のパフォーマンスの乖離は今年になって特に拡大し始め、covid19感染拡大後はさらに一段と拡大した。
20201111b
20201111c
しかし、この傾向が11月9日のファイザーショック以来反転し始めた。バイデン大統領が特定企業の市場支配を制限しようとしていることも後押ししている。
安全で有効な新型コロナワクチンが開発され、世界各国に行き渡れば、新型コロナウイルス感染症は終息し、通常の経済(covid19感染拡大前)に戻ることが期待される。 .株価においても、NYSE100がNasdaq100にかなり追いつくということになると思われる。

(3)日本株 バリューとグロース
日本においては、グロース株(成長株)がバリュー株(割安株)を大きくアウトパフォームするということが起きた。割安株が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大きなダメージを受ける一方、成長株にはむしろそれがfavorになった面があるからだ。
20201111d
20201111e
長期的には、グロース株がバリュー株をアウトパフォームする傾向は変わらないと思うが、ワクチンが有効でcovid19感染症拡大前の経済に戻るなら、今年になっての乖離拡大はかなり縮むのではと思われる。
そうであるなら、グロース株中心のポートフォリオは苦しくなる。グロース株中心のポートフォリオが締め上げられるなら、一層、バリュー株が優位になる。ここはファンドマネージャーの考えどころだ。
動く人は動いているようだ。
S&P500連動ETFに大量資金流入、ナスダックETFから乗り換えか - Bloomberg

参照 2020年11月08日 日経平均はどうでもいい。

↑このページのトップヘ