米国の長期金利の決定要因がわからない。長期金利と物価上昇率が今ほど大きく逆転したのは2度目だ。しかし、前回と状況は全く異なる。どう理解すればいいのか?

米国の長期金利の決定要因がわからない。
長期金利は、予想される将来の短期金利の平均なので、政策金利の決定要因がわからないということでもある。
米国の政策金利は、雇用の最大化と物価の安定(2%)をターゲットに決まる。
現在の雇用水準は、失業保険給付への300ドルの積み増しや受給期間の延長といったコロナ対策の特例措置で歪められているが、それでもパンデミック前の水準には程遠いので金融緩和は是とされても納得はできるだろう。
問題は物価だ。FRBのターゲットをはるかに超えており、しかもしばらくは続きそうだ。これにたいし、FRBは一時的と言い張り、(FRBがそう言うならそうだろうと)市場もそれを受け入れているようだ。
しかし、それを計数的に説明できるものは見当たらない。まるで、神のお告げに従っているようだ。
パウエル議長はイエレン財務長官にコントロールされている(大きな影響を受けている)かのようだ。
イエレン財務長官にとっては、(自分の専門分野である)雇用がより重要で、今の立場上、米景気・国民の家計がより重要なのだろう。イエレン氏は時々、ふと本音をチラッと漏らす。本当に物価上昇は一時的で、長期金利が低位安定していることが当然と思っているかどうか怪しい。
そんな中で中で相場ができている。

1960年以降、ここまで、長期金利と物価上昇率が逆転したのは2度目だ。
1975年は第一オイルショックの時であるが、これは今と同じだが、あのときは政策金利は長期金利より高く、金融引き締めがなされていた。今回とは全く状況が違う。
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もう一つ違うことがある。それは、あの時は物価と賃金上昇のスパイラルが起きていたが、今回は、今のところそこまでの状況にはなっていない。
今は、雇用水準が低く、今回は物価と賃金上昇のスパイラルが起きないとイエレン氏は考えていると思う。今の人手不足は、失業保険給付への300ドルの積み増しや受給期間の延長といったコロナ対策の特例措置で起きているだけなので、既に、この特例がなくなりつつあるからには、賃金上昇は抑えられていくだろうと考えているのだろう。
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あのバカ上がりしていた木材価格が急落しています。木材価格がフラッシュポイント(価格が上がりすぎ需要が突然急減少する点)に達した可能性があります。
価格の上昇が止まれば、1年後には前年比の上昇率はゼロになります。つまり、物価上昇は終わりということです。
賃金のスパイラル的上昇が起きなければ、物価上昇は一時的に終わるということです。
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