米国投機筋の国債先物のポジションを見ると、今年に入って、急に米国債に強気(金利低下見通し)になったようだ。

米国長期金利の動きが理解しにくい。長期金利は予想される今後の短期金利の平均になるので、今の長期金利は、FRBが何が何でも今の金融政策を持続し、しかもインフレが続かないと市場が見ているということだ。
あるいは、米国の長短金利が比較的広がっていることから、米国のインフレ懸念には目を瞑り、海外(特に日本)から為替ヘッジしての米債投資が起きているかだ。

テクニカルな要因(投機筋のポジションがスクイーズされるなど)はないと思う。

米国債先物の投機筋のポジションについて、
米国債の先物は、米国債2年物、5年物、10年物、長期、超長期の5種類あり、CBOT (Chicago Board of Trade) で取引される。10年物の取引量が最も多い。
それぞれについて、オプションもある。
CFTC (The U.S. Commodity Futures Trading Commission=米商品先物取引委員会)が投資部門別にそのポジションを集計している。
現在は、2種類あり、一つは昔からある商業(実需)部門と非商業部門(投機筋)などの区分によるもの、もう一つは、ディーラー、投資顧問、ヘッジファンドなどの区分によるものである。
(注)ディーラーとは主に証券会社、投資顧問とは年金や生保など、ヘッジファンド(投機筋のメイン)とはCTAなどである。

というわけで、ポジションも種々あるが、①投機筋の米10年国債の先物とオプションのcombine(混ぜ合わせる)したポジションと、②ヘッジファンドの米10年国債の先物のみのポジションを見てみる。


①投機筋の米10年国債の先物とオプションのcombineしたポジション
20210613a

②ヘッジファンドの米10年国債の先物のみのポジション
20210613b

参考まで、トレーダーの米10年国債の先物のみのポジションは、
20210613c

以上に見るように、短期筋(要はヘッジファンドなど投機筋)は、ポジションをスクイーズされるような状態ではない。
投機筋は、今年に入って、急に米国債に強気(金利低下見通し)になったようだ。
FRBが何が何でも今の金融政策を持続し、しかもインフレが続かないと見ているということだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー