相場を決める投資部門は?
相場は需給で決まる。売り手と買い手が折り合った価格で決まる。
微妙なところは、どちらの意志が強いかで決まる。
そういう意味では、
(1)海外投資家が最もパワフルだ。買いと決めたら、何が何でも買ってくる。売ると決めたら、とにかく売る。
(2)次に強いのは日銀のETF買いだ。ルールに基づいて買っていたようだ。
(3)その次に強いものは特に見当たらないが、公的年金が基本ポートの変更をしたときは、そうだろう。
(4)かつて、厚生年金基金の代行返上がブームになったが、このような事情があるときも強い売り手だった。
(5)実は、それら以外にも、時々、わからない強い売り手・買い手が起きる。これはわからない。

最初に、TOPIXと海外投資家の関係は次の通り。しかし、海外投資家が売り続けているにもかかわらず、TOPIXは上昇していた。
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両者の間を埋めたのは日銀のETF買いだ。結局、日銀はTOPIXで1,200ポイント、日経平均換算で16,000円程度相場を支えたことになる。もっとも、日銀が買っていなかったら、海外投資家がここまで売っていることもなかっただろうから、日銀が買っていなかったら、日経平均はいまより16,000円安いということにはならない。
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しかし、足元でそれでも説明がつかない事態が発生している。
リーマンショックや新コロショックなどの場合は、需給というより折り合う価格の調整が起きるが、足元ではそれほどの事情は生じていないのにだ。
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他に強い影響力を持つ投資家がいるとすれば、それは証券会社の自己に潜んでいることが多い。
(海外投資家先物+日銀ETF買い)は証券自己に含まれることが多いので、(海外投資家現物買い+証券自己)の動向を見ると、TOPIXは、概ね需給に沿った動きになっている。つまり、相場に悲観色の楽観色もないということだ。
リーマンショックや新コロショック、消費増税、大震災などがあると、悲観色から相場は先行き不安感で相場は下押しする。
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結局、事後的な需給からは相場の先行きを予想できない。
海外投資家はファンダメンタルズで投資行動を決めるので、結局は需給と言っても、ファンダメンタルズということだ。