日本郵政が2015年におよそ6,200億円で買収した豪州トール・ホールディングスを現地の投資会社「アレグロ」におよそ7億円で売却する。トールの業績は振るわず、郵政は17年3月期に4000億円を超える減損を強いられていた。(15年に6200億円で買って、2年後に4000億円の減損なんて、冗談のような話)
日本郵政 豪州不振事業を売却で特別損失674億円計上|TBS NEWS
日本郵政の上場担当者が激白。なぜ6200億円で買収した豪企業を7億円で売る羽目に? M&Aの3大成功法則を無視するお粗末経営=栫井駿介 | マネーボイス

日本企業は概して海外企業の買収が下手だと思う。要は、被買収企業の評価ができないからだ。
買収には投資銀行のアドバイザーを採用する。確かに、彼らは、シナジー効果や買収先企業のプロジェクション(仮定に基づいた企業の財政状態や経営成績の予測)、企業評価(買収価額)を丁寧にしてくれる。
しかし、彼らは買収がより高い価格で成立することが目標である。なぜなら、アドバイス料が高くなるからである。
そんなこととは知らず、問題は、買収企業(今回の場合、日本郵政)がアドバイザーの作る資料の評価ができないことである。資料をほとんど鵜呑みにしてしまう。本当によくできた資料だし、買収したいという気持ちがあれば、そうなってしまう。
私でさえ、資料を先に見てしまうと、そうだと思ってしまう。
資料を見る前に、自分である程度の目安を作って、それと比べながら読まないと、鵜呑みにしてしまう。

アドバイザーの情報を評価できる人(利害関係のないアドバイザー)が必要だが、そういうアドバイザーの存在はあまり聞かない。

1980年代後半、私がロンドンで欧州株のファンドマネージャーをしていたころ、アナリストミーティングに行くと、いつも、後ろのほうに日本人が二人遠慮がちにいる。気になっていたが、あるとき、野村ヨーロッパ主催のレセプションで彼らを見かけたので話しかけてみたら、日本たばこ産業財務部の人だとわかった。海外企業の勉強に来ているらしかった。
つまり、上記のアドバイザーの情報を評価できる人を自前で作っているということだ。今はどうなのかは知らないが。

今、日本には外株のファンドマネージャーはいなくなった。かつては、私も含め相当数いた。
1990年代に、厚生年金連合会がバランス型運用委託をやめて、資産配分はプランスポンサーが決め、運用委託は資産ごとにするように指導を始めたからだ。
外株運用の委託先の選別については、体制(外株のアナリスト数、海外拠点など)が重視されたが、日本の運用会社が海外の運用会社にかなうわけがない。
かくして、日本には外株ファンドマネージャーはいなくなった。(パッシブは除く)

そうなると、日本人で、上記のアドバイザーの情報を評価できる人がいなくなったということだ。
日本の証券会社の外株の情報提供も限られたものになった。個人向けに、やっているだけだ。

何か、残念な気がする。

2006年に、日本板硝子は英ピルキントンを6000億円で買収した。
このニュースを聞いたとき、「チョット待ってよ。事前に私に相談してほしかった。」と思った。
かつては、私の好きな銘柄だった。かつてはね。FTSE100に入っていたと思う。企業訪問もしたことがある。アナリストミーティングにも出ていた。
日本板硝子についたアドバイザーはどこだか知らないが、米系の投資銀行ではないかと思う。

以上、取り留めもなく書いてみた。