「今更聞けないアルケゴス騒動」について、ダイヤモンドオンラインに書かせてもらった。
市場を揺るがす「アルケゴス事件」とは?ベテラン専門家が4つのポイントで網羅解説 | 政策・マーケットラボ | ダイヤモンド・オンライン

モルガンS、1-3月にアルケゴス関連で9億1100万ドルの損失計上
2021年4月16日
モルガン・スタンレーは、ファミリーオフィスのアルケゴス・キャピタル・マネジメント関連で総額9億1100万ドル(約990億円)の損失を計上したことを明らかにした。
同社は16日発表した1-3月の決算資料で、「当四半期の損益には単一のプライムブローカレッジ顧客の信用イベントに関連する6億4400万ドルの損失と、同じイベント関連で期末までに生じた2億6700万ドルのトレーディング損失が含まれる」と説明した。

やっぱり、モルスタも損失があったようだ。ゴールドマンは逃げ切れたように報じられているが?
なお、モルスタはアルケゴスで6億4400万ドル、ViacomCBS Inc. (VIAC)の増資絡みで2億6700万ドルのトレーディング損失ということではないか(推察)?後者は後記するみずほ証券の損と同じと思う。


アルケゴス騒動は、焦点の当て方がいろいろある。
(1)野村が被った損。
(2)クレディスイスが被った損。同社の経営問題になっている。
(3)ファミリーオフィスやプライムブローカへの規制が必要か。
(4)異常なレバレッジ。
それぞれの記事があるが、まとめ記事をあまり見ないので、書かせてもらった次第である。

■日本企業では、野村、三菱UFJ証券、みずほフィナンシャルグループ(FG)の名前がでてくる。
うち、みずほはアルケゴス騒動には直接かかわっていないと思う。みずほの広報は「アルケゴスとの取引はない。そもそも、プライムブローカー業務は行っていない。」と報道されていたような気がする。参考まで、私の推察。

今回の事件のきっかけとなったViacomCBS Inc. (VIAC)の増資において、米国みずほ証券は共同幹事会社の1社になっており、市場価格が92ドルくらいの時、85ドルで増資株の引き受け(underwriting)をしたはずである。しかし、それが売れないまま、株価の下げが大きくなったのではないか?
特に、ゴールドマンやモルスタがアルケゴス保有株の処分を急いだため、株価の急降下が起き、あっというまに40ドルくらいまで下げた。
幹事ということでたたき売りするわけにもいかず、抱え込んだまま損が膨らんだと思われる。

引き受け価格は85ドル、Underwriting Discountが1.38125であるが、株価は増資発表とともに、価格は70ドルまで下げ、その後40ドル台に下げた。
そういう意味では、みずほもアルケゴス事件の被害者の一つである。
増資の目論見書

■何故、野村とクレディスイスが逃げ遅れたか。
(1)入れ込みようの違い
そもそも、ファン氏はインサイダー事件で投資顧問業界から追放されていた人物だ。
ゴールドマンやモルスタは、儲かるから取引していたが、はなから、問題があれば逃げるつもりだった。それに対し、野村は、そういう警戒感に薄く、入れ込んでいた。プライムブローカーとして大きくなりたいという気持ちが強かったのだろう。無理をした。その点、ゴールドマンやモルスタはプライムブローカーのリーダーであり余裕だ。
(2)意思決定
トップの意思決定力の違い。あるいは、危機管理・リスク管理体制が甘い。
(3)審査力
私が、かつて貸付審査をしていたころ、中小企業への融資はトップのひととなりを重視した。
野村は、アルケゴスと取引するとき、トップ(ファン氏)のことを信用しすぎたのではないか?
確かに、ファン氏は敬虔なクリスチャンであり、人柄はよかったかもしれない。
しかし、投資ではアグレッシブすぎた。だから、インサイダー事件も起こしているのだ。
審査体制が甘いと思う。