アルケゴス・ショックで野村やクレディスイスが巨額の損害を被ったようだ。しかし、金価格を見ると、全くブレていない。金融不安は全くないようだ。
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Archegos Capital Management(以下、アルケゴス)がレバレッジを効かせて200億ドル相当の株を間接保有、株価下落に伴い追証求められるも対応できず、間接保有株の強制売却、資金提供していた投資銀行(野村ホールディングス、クレディスイスグループなど)が多額の金融損失を被った件について、

ここにまとめられている。まだ全容(特に金額規模)はわからないが、起きたことは概ねわかる。
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(1)レバレッジの方法は、信用買いではなく、CFD(差金決済取引)のようだ。
詳細はわからないが、アルケゴスが野村などに証拠金を置き、野村が株を保有する。株価が上昇すれば証拠金が増え、株価が下落すれば証拠金は減少する。野村などは株は保有するが、株価変動に伴う損益は顧客拠出の証拠金で調整する。それだけのことなので、野村にとってはリスクのない取引のはずだった。しかし、株価が大きく下落すると、証拠金はマイナスになるため、追加の証拠金が必要になるが、アルケゴスはこれを入れられなかった。なので、この取引は強制的に解除され、株も強制的に処分されることになった。そして、株を保有していた野村やクレディスイスに多額の損失が発生することになった。
CFD(差金決済取引)は為替のFXと同じ仕組みだ。この方法だと、かなり(例えば5倍)のレバレッジを効かせられる。

なお、CFDとしたが、実際の形態はトータルリターンスワップだ。野村がアルケゴスのために保有する株から得られるトータルリターン(売買損益や配当収入)をアルケゴスに渡し、その代わりにその株を買うのに必要とした資金の何%(通常は一般的な市場利息程度)かをアルケゴスから受け取るということ。トータルリターンがマイナスになれば、野村はアルケゴスからそのマイナス分を受け取ることになるが、今回、アルケゴスは、それを支払えなかったということだ。
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アーケゴスの資産は約100億ドルだったが、500億ドル以上のポジションを保有していたという。
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(2)しかし、金融不安は起きていない。全くの懸念もないようだ。
野村やクレディ・スイスは巨額の損害を被る可能性を明らかにした。
今回の件で、ゲームストップ株事件に続きヘッジファンドの在り方が再度問題になろう。
アルケゴスのポジションの総額は500億ドルを超えている可能性があり(上記では200億ドル相当の株を間接保有とした。要は正確なポジションはわからない)、まだ全て清算はされていない模様だ(モルスタはほぼ終了したようだが)。しかし、市場には金融不安は全くない。金価格を見ればわかる。

金価格とインフレ連動債との相関は、昨年11月20~25日頃新しい関係に変わった。
トランプ前大統領が実質的にバイデン勝利を認めた時だ。大統領がトランプからバイデンに変わって金価格とインフレ連動債との相関も変わったということ。
金価格は、その相関に沿った水準にあり、全くブレていない。
つまり、金融不安リスクはないということだ。(あれば、その分金価格は高くなる)
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(3)というわけで、今回の件で強気相場は崩れないだろう。ただし、急増しているmargin debt(証拠金債務)に注目が集まり、相場がもたつく可能性はあろう。
次は、ヤルデニ氏のサイトからの借り物だが、margin debtの前年同月比増加率が高い。ITバブルやサブプライムバブル時以来だ。
これについては、今回はこれ以上は論じない。
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