背景は米10年国債利回り上昇⇐インフレ懸念。


相場が調整する条件は、
(1)企業業績悪化=ISM指数50割れ=経済成長縮小
(2)金融政策が量的緩和縮小(テーパリング)

(1)の可能性はまずない。∵ 中国経済の好調持続&米財政刺激策
(2)当面、その可能性はないが、米10年金利が上昇していることで市場は懸念している。
10年金利が上昇している背景は、インフレ懸念が高まっていること。
そうであれば、Fedは量的緩和を続けるのは難しくなる。

次のチャートに見るように、市場の期待インフレ率は上昇し、2.2%近くになっている。
Fedの目標値は2%(2%より低いのも容認しない。2%を一時的に超えるのは容認)なので、市場が懸念(本当に、インフレ率が2%を超えて、Fedがテーパリングに入る懸念)するのも無理はない。
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なお、金利上昇で、相対的に債券が魅力的になり、株価から債券への資金シフトが起き、株価調整ということもあろうが、その金利水準は、新型コロナ感染症拡大前の1.5%と考えている。

問題は、
(1)期待インフレ率が上昇している背景は何か?
(2)本当にインフレは起きるのか?

(1)の背景は、原油価格の上昇である。期待インフレ率は原油価格との連動性が高く、原油価格の上昇が期待インフレ率の上昇をもたらしている。昨年4月は、一時原油価格がマイナスになったこともあり、今年4月には原油価格の前年比は急騰するだろう。ただし、これは一時的である。
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(2)市場がインフレ懸念を持っているのは、原油だけでなく、コモディティー全般が高く、それがインフレを引き起こすのではないか? また、今はI小売売上高などに見るように景気は悪くないが、そこへ1.9兆ドルの追加経済対策を行えば、景気過熱を起こすのではないか? ということだ。

しかし、本当のインフレはそんなことでは起きない。インフレが起きるのは、賃金が強く上昇するときだ。最低賃金引き上げは多少物価上昇をもたらすかもしれないが、微々たるものだ。今の雇用情勢では、賃金インフレは起きないだろう。

以上のわけで、企業業績拡大(経済成長)は続く。一時的な総合物価上昇率は高まるだろうが、持続的なインフレは起きないので、金融緩和も続く。株式市場はインフレ懸念でマイナーな調整はあるかもしれないが、上昇トレンドは続いている。