テスラが15億ドルのビットコインに投資していること、ビットコインでの支払いを受け入れる方針を表明した。

この目的について、日経新聞は、テスラCEOのマスク氏が「テスラの運転資金の必要量を上回る現金の運用先を多様化し、収益を最大化するよう柔軟に投資する」と考えたからとしている。
  テスラがビットコイン購入 「決済」実現に危うさ: 日本経済新聞

『もっと儲けようとしたから』と書かれているが、そんな話なのだろうか?
10年で株価を100倍以上にした『世界をつくり変える男』がビットコインを支持するからには、何らかの狙いがあるだろう。
いつの日か、1ビットコインが何ドルかではなく、1ドルが何ビットコインかになるかもしれない。

私には、洞察力はないが、参考のため今の状況をまとめておこう。

テスラがビットコインを支持する理由は、それが「デジタルゴールド」であることだ。
(1)国境を越えた支払いが可能な世界共通通貨であること。
(2)ビットコインのほうが長期的に価値が安定するだろうということ。

なお、以前は企業が資金を預金(またはそれと同等物)で持っていると利息が付いたが、今はそれがなくなっている。そのことも、(利息が付かない)ビットコイン保有の背景の一部だろう。

ビットコインに問題がないわけではない。
ビットコインが世界を支配すると、その問題点は各国政府のコントロールが効かないことだ。
当然、金融政策はなくなってしまう。為替相場による貿易不均衡調整もなくなる。
なので、各国はソブリンデジタル通貨は推進して、ビットコインを葬りたいだろう。
中国は、マイニングは儲かるので許可しても、ビットコインの利用は禁止しているようだ。
インド政府も暗号資産の使用を国内で全面的に禁止する方針だ

(2)について、
法定通貨は発行上限はないが、ビットコインは発行上限が定められている。
米でも、ECBでも日本でも通貨供給量はクレイジーなほど増加している。
ビットコインのほうが長期的には安定した価値を持つかもしれない。

(1)については、ビットコインの利点は国境がないこと。決済性だけならデジタル通貨(人民元など)があるが、ビットコインは世界通貨だ。いつでもどこでも無制限の支払いと受け取りが可能である。
このことは世界で販売する企業にはメリットだ。世界のどこで販売しても資金回収が直ちにできる。その国の外為規制などにかかることもない。