ある分野について、「過去を学んで(または、トレーニングを積んで)、現状を把握し・対処する(目標の実行、現状の問題の改善や、将来の予測など)」これを高いレベルで実行できる人(専門家)である。
そして、多くの場合、それに対して報酬が支払われる。

医者は、医療のプロである。人間の体を学び、病気について学び、患者の病状を把握して、病気を治す。
お風呂の修理工もプロである。お風呂の構造を学び、顧客の風呂の不具合の状態を把握し、故障を直す。
どちらも、素人(アマチュア)ではできない。

ところで、エコノミストや株価アナリストはどうだろうか。
エコノミストは、過去の経済事象を学び、現状を把握し、将来の経済予想をし、それに基づいて経済政策を提言する。
株価アナリストは、過去の株価動向パターンや株価形成理論を学び、現状を把握し、将来の株価を予想する。

医者や修理工は多くの場合、的確な処置を行うが、エコノミストや株価アナリストは多くの場合、予想を外す。

医者や修理工は、素人が到底できないことをするが、株価予想などは素人の予想の方が当たる場合もある。

両者の違いは何か?
エコノミストや株価アナリストは、過去を学んだことや、積み上げたとレーニンが役にたたないことが多いことである。
「歴史は繰り返さないが、韻を踏む。」ということである。「韻を踏む」ので解説はできるが、予想は外れるのである。
歴史は物理的現象と違う。同じ現象は起こらない(想定外なことが起きる)。しかし、パターンとしては似たような現象が繰り返されているのである。
なお、経済、金融当局が、時として経済の流れを自然な流れに任せず、人為的に変えようとすることも、エコノミストや株価アナリストを惑わせる。

エコノミストや株価アナリストに必要なのは、専門知識が高いことよりセンスである。センスがあれば、素人(十分な知識を持たない人)でも、予想は当たる。

<追記>
そういえば、元GSの著名ストラテジスト(Steven Einhorn)は、「理路整然と予想を外す」と言われていた。理屈はbeautifulなのだが、予想は外れるのである。

天気予報のプロ「気象予報士」も当たらないことが多々あるなぁ。自然科学でも、天気は気まぐれだから。経済、相場予想と似たところがあるかもしれない。