米雇用統計(11月)の予想
米雇用統計(11月)の予想 追加情報 ADP

米雇用統計の予想(新規失業保険請求件数から予想)が妙に外れる。
20201206o
と思っていたら、
新型コロナ: 米失業保険統計に懐疑論(NY特急便): 日本経済新聞
(ウォール街ラウンドアップ)失業保険統計に暗雲  :日本経済新聞
という記事があった。
内容はわかりにくいが、価値ある記事だ。
米失業保険統計は、①週次で発表になり速報性があること、②全失業保険被保険者を調査対象(全数調査)にしており、それは全労働人口の9割をカバーしていること、③一度発表された数値が後で修正されることが少なく信頼性が高いことから、投資家の間では重視されている指標だ。それに疑問がついたのだから、記事の価値がある。

『失業保険統計の信頼性に疑問符がついた』ということなら、それから予想する雇用統計も怪しいということになる。要は、一時的に申請件数がありえないほど増えすぎて処理がキチンとできていないということだ。
20201206p

はっきり言って、雇用関連の指標は全て混乱していると見ていいだろう。
しかし、幸いなことに;雇用統計が重要なのは、それが金融政策に直結しているからだが、今は金融政策が動く(FFレートが変わる)ことはないのだから、雇用統計がどうであれ、大きな相場変動は起こさない。

<オークンの法則>
オークンの法則とは、失業と実質GDPとの間の負の相関関係のことだ。
次式で表現することもできる。
      実質GDPの変化率=2.5%-2*失業率の変化
この式は、失業率が変化していなければ、実質GDPがほぼ2.5%の率で成長していることを示す。常態におけるこの成長率(潜在成長率)は人口成長、資本蓄積、技術進歩などによるものである。
また、例えば実質GDP成長率が4%のときは、失業率は0.75%低下することを示唆している。
逆に言えば、失業率が0.75%低下していれば、実質GDPは4%成長していることが推計される。
失業率を3%下げようとすれば、4%成長を4年続けることになる。(4%成長1年で失業率は0.75%低下)
20201206q

失業率の1年変化は、また、雇用の1年変化とも高い相関がある。
しかし、今は、雇用の回復に比べ失業率の回復が大きすぎる。
労働参加率が大きく低下したからだ。
失業率に惑わされてはいけない。
20201206r