中国、米国債は「ダイエット」、日本国債は「暴食」

中国は対外証券投資内訳を発表していないので、相手国(中国の投資先国)のデータで検証することになる。
今回は、米国のTIC(財務省国際資本)統計、日本の対内証券投資データで検証した。

TICの残高データでは、中国は5カ月連続で米国債保有残高を減らし、4年7カ月ぶりの低い数値となった。
他方で、日本国債の保有を増やしている。

中国の2020年9月末の外貨準備は3142.5十億ドル。中国の米国証券(国債、政府機関債、社債、株式)保有額は推計1560十億ドル、これには民間の保有も入っている。
外貨準備のドル保有は半分もないようだ。

私の推測の結論は、
中国政府(つまり、外貨準備)は米ドル資産の保有を減らし、日本国債の保有を増やしている。
一方で、民間(生保や企業、投信など)は米国証券の保有を増やしているようだ。
こうした動きは極めて徐々に進んでいる。大きな変化は見られない。
中国は経常黒字の国で、資金余剰が発生しているはずであるが、それは多分に直接投資に回っている。
米欧の企業買収や、新興国への投資に回っているということだろう。その目的は武田薬品がシャイアーを買収したようなM&Aグロース目的ではないだろう。国家戦略に沿っていると思われる。

(1)中国の米国債保有と外貨準備
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(2)中国と日本の米国債保有
中国の米国債保有は大部分が外貨準備による保有だと思われるが、日本の米国債保有は、民間(公的年金や生保など)の保有がかなりある。
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(3)残高データでは中国は9月に米国債の保有を減らしているが、フローデータでは中国は米国債をかなり買っている。データの算出方法( methodology)に違いがあるからのようだが、よくわからない。研究心旺盛なら、TICのFAQで研究してみてください。但し、FAQには、他を参照しろとか書いてあるので、相当骨が折れると思う。私はgive upした。
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(4)中国の日本債券購入額
特に短期債の購入額が増加している。
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(5)中国の対外資産負債残高
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(6)中国の米国証券保有
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参考
Frequently Asked Questions Regarding the TIC System and TIC Data
Coordinated Portfolio Investment Survey - CPIS Home - IMF Data