通常、為替相場は資本動向で決まる。
金利の高い通貨にキャリートレードの形で資金が流れ、何かリスクが発生すると、リスクオフ というか、risk-averseでポジションの巻き戻し(unwind)が起きる。そして、リスクが低下すると、再び高金利通貨に資金が流れる、の繰り返しだ。

勿論、為替相場がそれだけで決まるわけではない。
最近は、ドルの金利も低下し、キャリートレードが行われにくくなっている。
では、何が為替相場を決めるのか?

長続きするかどうかはともかく、にわかに出てきたのが実需(貿易収支や所得収支、直接投資収支など)である。
バイデン政権になると、再び自由貿易に舵が切られるのではないかということだ。TPPへの参加もという話も出てくるくらいだ。

トランプ政権では、生産の国内回帰*を目指し、貿易収支を改善することが目標だった。高い関税を課したのそのためだ。しかし、この政策が巻き戻されるのではと市場は考えているようだ。帰結は、再び貿易赤字が拡大し、つまり、実需のドル売りが起きるということで、金利差要因が小さければ、ドル安に進むだろう。

*私の考え 中国がやったように、パナソニックを米国に誘致し(税などの特典を与えて)、テレビや白物家電などを作るようにすればいいのではないかと思うのだが。・・・・トランプならできたはずと思うのだが?

米国の貿易収支を見てみよう。
20201108p
1986年、米国の対日貿易赤字のGDP比が1%を超え大問題になった。トランプ政権は対中貿易赤字のGDP比も1%以内に抑えたかったはずだ。それは、徐々に進んでいるようだった。
また、米国の貿易赤字のGDP比の拡大も一応止まっていた。
20201108q

それが、バイデン政権では再び拡大するかもしれないということになれば、ドル安に進もうということだろう。