海外投機筋が先物売をすると、日本の証券会社は、その相手方になって先物買いを行うとともに、現物のバスケット売り(裁定売り)を行う。こうして、海外投機筋が先物売りを行うと裁定売りが発生し、裁定残は海外投機筋の先物ポジションを反映することになる。
勿論、裁定取引の全てが海外投機筋の先物売買に対応するものではないので、大まかな話である。
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さて、その裁定取引残が過去と比べて異常な状態になっている。過去にはなかったネットショート、つまり裁定売り残が裁定買い残を大幅に上回っているのだ。つまり海外投機筋の先物ポジションは大幅ショートになっているということ。海外投機筋は日本株に弱気ということだ。
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これを、ロング、ショート別に見ると、ショートが高水準になっていることがわかる。
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私は、このショートがいつ解消されるかと考えてきたが、ひょっとすると、この状態がいつまでも続くかもしれない。つまり、海外投資家は日本株に弱気を続けるということだ。
このショートを受けたのは、日銀のETF買いである。であれば、海外投機筋がショートを買い戻すのは日銀がETFを売るときとなるのが自然だ。

結論は、海外投機筋のショートポジションが高いからと言って、その買戻しを期待することはできないかもしれないということ。相場にとって中立の話だ。

逆に、日銀が保有ETFの出口戦略を考えると相場にはネガティブな話だが、そうでないなら、今後の相場にとって中立要因だ。