普通は、ドル金利上昇(米日金利差拡大)ならドル高だ。
今はそうではない? あまりない現象だ。何が相場を決めているのか?
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最近の為替相場について、わかりにくい解説がある。
『米株高→リスクオン的に米ドルが対ユーロなどを中心に値下がり。だが、米金利上昇はいずれ米株下落をもたらし→リスクオフ的な円高の様相を呈そう。』
わかりにくいというのは、前半ではリスクオンでドル安、後半でリスクオフで円高とあることだ。
リスクオンでもリスクオフでも円高ということか? なら、為替相場にリスクオン・オフは関係ないということだろう。

さて、話は戻って、ドル金利上昇下のドル安の背景は?
このブログで書くのは数度目になるが、実質金利の低下が予想されるからだ。
実質金利は金利から期待インフレ率を引いたものだが、長い間期待インフレ率は落ち着いていたので、過去ではあまり意識されなかった。それが急に意識されだしたのは、財政赤字の急拡大・政府債務の急拡大・マネー供給量急拡大のなかで、さらに財政刺激の規模が拡大するかもしれない警戒感である。
特に、ブルーウエーブ(バイデン氏が大統領選で勝利し、上院と下院でも民主党が過半を占めること)が起きれば、民主党のやりたい放題の財政刺激拡大が起きることを懸念してるようだ。

しかし、今のところ為替相場は期待インフレ率の上昇(ひいては本当にインフレになること)を懸念しているが、期待インフレ率(BEI=Break Even Inflation rate)にそれほど大きな変化は見られない。
このまま大幅ドル安になることはないだろう。
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しかし、市場の動きで見過ごすことのできない材料になっている。
(1)期待インフレ率の上昇→実質金利(=インフレリンク債利回り)の低下→ドル安
(2)期待インフレ率の上昇→債券利回りの上昇 と考えて、レバレッジドファンドの残存15-25年の米国債先物のショートポジションが過去最大になっているようだ。一方、資産運用会社はFRBによる金利コントロールを信じて、ロングポジションは過去最高になっている。どちらが勝つか興味深い。米国債先物に極端な乖離-笑うのは投機的ファンドか資産運用会社か
(3)トランプ大統領が選挙結果を認めないことで生じる、コンスティテューショナル・クライシス(憲法的危機)が発生した場合、どうなるのか?
米選挙、民主党「ブルーウエーブ」勝利は本当か-投資家の疑念強まる