最近の株価の神経質な動きの背景は、
(1)次期最高裁判事を巡る争いの激化、
(2)財政刺激策の見通しの悪化、
(3)11月3日以降の大統領選挙の争奪戦の可能性、
(4)COVID-19の流行の持続、
(5)Fedの新しい金融政策の枠組みは金融政策の行き詰まりのように見えること、
(6)その他(利食い、risk aversionによるリスク資産の縮小)

ジャンク債市場でも小さな動きがある。
ハイイールド(ジャンク債)市場は「炭鉱のカナリア」である。ジャンク債は通常、大きな負債を抱えている企業によって発行されており、米国経済の悪化に敏感に反応する。
iシェアーズのハイイールド社債ファンド、HYGは、月曜日に約10.6億ドルの流出に見舞われ、パンデミックの開始以来最大の1日の流出となった。
それでも一部の投資家は、最近のハイイイールド債の価格の乱高下やハイイイールド債市場からの資金の流出は、債券投資家が債券価格が下落する可能性がある(大統領選のある)11月頃に、より魅力的な機会に備えて現金を保有する動きを単に反映していると考えている。
言い換えれば、最近のハイイイールド債の価格の乱高下やハイイイールド債市場からの資金の流出は、これからの海が不安定になる兆候ではあるが、必ずしも大規模な大惨事や、パンデミックが最初に米国を襲った2月に見られた一時的な信用凍結に戻るとは限らないということである。

以上のような背景でリスク資産(株式など)のポジション調整がおき、株式相場が不安手になったのは、「米国株価下落リスク」の頃からである。

相場の後講釈は難しくないが、いくら考えても予想ができない。
当たる予想はいつも難しいが、今回は、外れてもいいと言われても予想ができない。

株価(S&P500)とEPSの関係を見ると、どう考えても強気になれない。
景気の先行きも自信が持てない。
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しかし、マネーの急増がPERを支えている。
(株価=EPS × PER  で、PERは金融状況(マネーの伸び率など)を反映する)
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20200924c

(注)
(1)PER予想(点線)は、上記のEPS予想を用い、今の株価(S&P500=3236.92)が続くと仮定。
(2)MZMとはMMFや普通預金などの流動性が極めて高いマネーサプライのこと。Money of Zero Maturity is a measure of the money supply. It measures the supply of financial assets redeemable at par on demand, hence the name. It is equal to M2 less time deposits, plus all money market funds.


<続く>