今の米10年国債利回りは0.68%である。市場が決めた金利である。これは、果たしてどういうことなのだろう。

10年債を買いたい人と売りたい人の取引の折り合う利回りは、10年債を満期まで保有するときの元利合計が、その間短期債をつないで保有するときの元利合計が同じになるような水準になるだろう。

表の短期金利の仮定は、上記のような考えをもとに想定してみた。勿論、一例だ。
20200916a


こんなうんざりするような環境で、米国人が預金で我慢できるだろうか?
資金循環の日米欧比較のP2「図表2 家計の金融資産構成」を見てください。米国家計が預金で我慢できるわけがないだろう。
米国の株価堅調の背景はそういうことだと思う。

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なお、
[短期利子率と長期利子率の関係]
「長期債を満期まで保有するのと、その間、短期債をつないで保有するのと、結果として同じ収益になる」という考え方から「長期利子率は、予想される将来の短期利子率の平均に等しくなる」ということが導かれます。この機会に証明しておきます。

長期債を満期まで保有するのと、その間、短期債をつないで保有するのと、結果として同じ収益になるとして、長期利子率をR、予想される将来の短期利子率をSnとすると、
(1+R)n=(1+S1)(1+S2)……(1+Sn)
両辺の対数をとると、
log(1+R)n=log((1+S1)(1+S2)……(1+Sn))
n×log(1+R)=log(1+S1)+log(1+S2)+……+log(1+Sn)
Xが小さいときは、log(1+X)≒Xなので、
R=(S1+S2+S3+……+Sn)/n