投資家は、年金やソブリンウェルスファンドなどのlong onlyの長期投資ファンドと、ヘッジファンド、CTAなどの短期の投機筋に分かれる。

日本株で相場を決める最大の投資部門は海外投資家である。
海外投資家のうち、短期の投機筋は主に先物を利用する。
そのフローの動向は、東証が発表する投資部門別取引状況でわかる。
但し、ポジション(残高)は発表されない。
なので、説明は省略するが代替指標として裁定取引残をみる。

一方、米国では、CFTC(全米先物取引委員会)が、各取引所に建て玉の公表を義務付けている。
参加者の分類は2種類あるが、非商業部門(いわゆる投機筋)と商業部門などの分類が古くからあり、投機筋のポジションがわかる。
この中で株式について注目されるのが、E-MINI S&P 500 STOCK INDEXの先物ポジションだ。レギュラーのS&P500より圧倒的に出来高が多い。

以上が、前置き。
最近の注目は、いわゆる投機筋であるヘッジファンドが、米国株に対するショートポジションの解消を急いでいることだ。新コロショックで、ショートを積み上げてきたが、相場は逆に上昇を続け締め上げられ気味だが、とうとうポジションの手じまいを急ぎ始めたようだ。

S&P500のEミニ先物の投機筋のポジションのグラフが次である、直近週で急速に買い戻し、ショートポジションを圧縮している。週間の圧縮幅は2007年以来で最大。圧縮前は、ショートポジションは差し引きで約10年ぶりの高水準に達していた。
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実は、米国の投機筋は、先物だけでなく、S&P500ETFの空売りも行っている。short interestという。ここ数年はこちらの方がメインかもしれない。
残念ながら、私はデータを持っていないが、Bloombergニュースによれば、『SPDR・S&P500ETFの空売り比率は6月26日に4.9%と、5月末の6.7%から低下し、ショートカバーの動きを示していた。』とのこと。こちらもショートの圧縮を図っているようだ。

こうした動きから相場予想ができればいいのだが、難しそうだ。
ただ、ショートポジションが大きければ、潜在的な買戻し需要があるが、ショートポジションがなくなってくれば、そうした需要は低下する。
一応、強気材料がひとつ消えつつあると言っておこう。