Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2022年08月

米国の今後の金融政策を考えると、訳が分からなくなってしまう。
(1)この40年間はディスインフレだったので、FRBは専ら景気(雇用)のことだけを考えてきた。しかし、これからは、インフレ抑制を最優先するという。これまで構築した各種経済モデルは役に立たないかもしれない。No model can explain the current situation. グリーンスパン議長の有名な言葉だ。(検索してもでてこないが、グリーンスパン議長がこれを言った翌日、Brown Brothers Harriman のストラテジストが来日して私の会社に訪問に来たが、この言葉の意味することについて論議になったので、よく覚えている。)
(2)70年代を参考にしたいが、パウエル議長は70年代の失敗の二の舞を踏みたくないという。70年代とは違う展開になるということだ。
(3)難しいのは 実質金利がマイナスで依然大幅金融緩和状態だということ。それをそう感じないのはリーマンショック後、常に金融緩和で景気を支えてきたからだ。ここからは、金利を物価上昇率より高くもっていくのではないか?

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話を日本の金融政策に持っていくと、
日銀が目指すのは ディマンドプルの物価上昇で、資源価格高騰によるコストプッシュインフレではない。そして、ディマンドプルを促すのは賃金上昇である。
その意味で サービス価格が注目される。
一部では高級品のディマンドが高まり、高級品のインフレが起きている。これは、日本の政策に問題があるということだろう。何度も言うが、今、日本に必要なのは分配政策である。それが成長戦略につながっていく。岸田首相は分配を掲げて総理になったが、なったとたん引っ込めてしまった。岸田氏の目標は総理になることだったのだろう。あの手帳はどうなったのだろう? 一たび総理になれば、できるだけ長く続けたいというのが目標だろう。国内経済はどうでもいいようだ。

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米国では、経済成長が減速すると、物価上昇率は高まる。

そんな馬鹿なと思うだろうが、データが示している。

経済成長をISM指数で計る(ISM指数はGDP成長率と連動しているので)と、次のグラフに見るように、ISM指数が拡大しているときは、消費者物価上率は低下する。逆も真である。つまり、景気が減速しているとき(ISM指数が低下している時)は、消費者物価上昇率は上昇する。
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右目盛りを上下逆転すると、こういう具合だ。
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以上が正しければ、利上げして景気を悪化させても、物価は上昇して、(利上げは)逆効果ということになってしまう。
これではFRBは何をしているのかわからない。

勿論、そんなことはない。実は、景気と物価の関係は次のようになっている。

以下略。

米 景気が悪化すると物価が上昇する摩訶不思議 - GogoJungle











米国経済を認識するには、先日発表になったPhilly Fed Index が適当だ。



(1)8月のPhilly Fed IndexはISMで53、実質GDPで2%強の成長に相当する。
米国経済はまだ成長している。雇用も強い、日本株にとってもポジティブな材料だ。
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(2)半年後の景気見通し塩数は大幅低下。

経済の先行きには大きな不安がある。リセッションの可能性は高い。しかし、リセッションには陥らないという見方も多い。雇用が堅調だからだ。
リセッションに陥るかどうかは大きな問題。陥るなら日本株も持たないだろうが、今のところ日本では、米国がリセッションに陥ると考える人は少ないようだ。多くの国がエネルギー不足に悩まされているが、米国は無縁だからだろう。
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(3)価格高
価格指数がここまで高くなったのは70年代まで遡らないとない。しかも、景気指数が低下してきているのに、価格指数は高止まったままだ。リーマンショックの時もそうだった。

価格高。賃金プッシュインフレーソン。これが沈静化するかどうか。沈静化しないなら、リセッションを引き起こしてでも利上げは続けられるだろう。
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こうしてみると、株価が堅調を続けられるとすると、リセッションが起こらず、インフレが鎮静化するということになる。米国の雇用が多少軟化しても雇用市場が崩れることはないという見方があること。米国がリセッションい陥らなくても、中国経済や欧州経済の軟化が物価沈静化につながるという見方もあることなどから、都合よくいくかもしれない。というわけにはいかないだろうなぁ。










以前記したように、このブログとは別にもう一つブログを書いている。
そこでは主に相場に関する記事を書いている。
そして、このブログには、その他の内容のことを書いている。その他には経済も含まれる。

ところが、軽い熱中症になったり、夏バテしてから、ここに書くことは少なくなった。

ただ、相場の方はフォローしているので、別ブログには時々書いている。

別ブログの方は、基本有料なのだが、無料記事や途中まで無料というのもあるので、興味があれば、ご覧ください。

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ドル/円為替相場と投機筋の話だが,
投機筋は、ネットポジションは円売りだが、足元でやっていることは、円買いを増やし、円売りを減らしている。
円高懸念を持っているようだが、ドル円の為替相場は円が売られた。

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表題について、日本株が堅調な理由 - GogoJungle 参照ください。

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エネルギーなど商品価格は下落していたので、総合指数は低下することはある程度分かっていた。
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びっくりしたのは、賃金動向を反映するサービス価格まで上昇率が大きく低下したことだ。
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これで、FRBの金融引き締めペースが鈍化すると市場は考えた。
金利は低下し、ドルも下落、株価は上昇(金融引き締め緩和⇒PER上昇)した。

ただ、この傾向が続くかどうかは不明。
航空運賃などが低下しているが、これが続くとは思えない。
やはり、賃金上昇率がかなり低下してこないと、難しいだろう。

それでも、FRBは考える時間が持てる。
結論は保留。

Table 2. Consumer Price Index for All Urban Consumers (CPI-U): U. S. city average, by detailed expenditure category






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