Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2022年04月

海外投資家に注目すると、
3月11日の週から3週連続で、ヘッジファンドなどが先物で買い、年金などが現物を売っていたが、
4月1日の週から反転。以後は、年金などが現物を買うとともに、ヘッジファンドなどは先物で売っている。

本来は、ヘッジファンドが素早く入ってきて相場を押し上げ、そこへ年金等が追いかけるといういいパターンなんだが、力強さが全くない。ヘッジファンドも引くのが早すぎる。

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表記(日本株 投資部門別需給)について、ここへ転載するつもりだったが、グラフが多くて大変なのであきらめる。
興味があれば、以下の別サイトでごらんください。

日本株 投資部門別需給  東証データより - GogoJungle

米国で住宅価格が急騰している。2月は前年比で19.8%の上昇だった。
2000年代半ばの住宅バブル期並み、あるいはそれ以上の高騰率だ。
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その結果、可処分所得に対する比率も同バブル期並みになっている。
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(注)新型コロナウイルスの救済プログラムによる社会給付(1人当たり600ドル支給、失業給付の上乗せなど)があり、一時的に所得が増えているところがある。今はない。

スワ大変か? というと、市場でも、そこまで気にされていないのは、「家計の可処分所得に対する負債の割合」に懸念がないからだ。住宅バブルの時は、ホームエクイティーローン*で住宅価格が上昇すればそれに伴い借り入れを増やしていたが、今回はそのようなことはないようだ。要は、家計は健全だということだ。

*日本では、住宅ローンというと、住宅を購入するために借りる資金のことだが、米国では、住宅を担保に借りる資金のことで使途は自由。住宅価格が上昇すれば、担保価値が上がりそれだけ追加借り入れできる。
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家計の可処分所得に対する返済金額の比率は十分低い。
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(注)債務返済比率(DSR:Debt Service Ratio)
家計の可処分所得に対する住宅ローンと消費者金融への合計返済額の比率
債務返済(元本返済+金利支払)負担の対可処分所得比率

金融債務比率(FOR:Financial Obligations Ratio)
住宅および消費者ローンの元利払いに、①自動車リース料金、②借家賃貸料、③持ち家に付随する保険(火災保険など)、④財産税(プロパティー・タックス)、を加えた支払い額合計の対可処分所得比率であり、より広義の債務負担を示す。

今回は、何のバブルかというと、株価というpriceバブルだ。
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今、最も確かに、大きく儲けられるのは「円売り/ドル買い」と、多くの投資家は考えていよう。

‎キングドル  ボトム円
・日本の金融緩和の続行
・米国の積極的な利上げ
・中国の都市ロックダウン
・ロシア/ウクライナ戦争

皆が日銀金融政策決定会合での金融緩和据え置き決定の号砲を待っていた。
利上げに向かう米国との金融政策の方向性の違いを確認して、一斉に円売りに走った。

S&P500は前年比でほぼフラット。投資家はイライラしている。
企業業績が良いのを確認して、株へも資金が向かった。
特に、Meta Platforms FBへの期待は低かっただけに、その反動は大きかった。

米国実質GDPは、‎‎第1四半期に▲1.4%となった。こういう時は「次回FOMCでの0.5%を超える利上げ予想を引き下げる可能性」まで都合よく解釈する。と同時に、GDPの内訳を見ると、外需と在庫の問題で弱かっただけで、GDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は前期比年率2.6%増と、昨年10-12月の1.7%増から改善していると胸をなでおろす。

トヨタの2021年度(21年4月-22年3月)生産は,、海外は10.3%増の580万8706台だったが、国内は5.4%減の276万0843台。国内生産は1976年度(約258万台)以来、45年ぶりの低い水準だった。これが日本経済だ。(日本経済が弱くても、今や日本企業は海外で利益を挙げる。)
中国の都市ロックダウン。欧州はロシア/ウクライナ戦争で経済崩壊だ。
ひとり米国経済が堅調だ。

問題は、
(1)世界的な経済成長に対する懸念(インフレ、COVID-19パンデミック&後遺症、ロシア/ウクライナ戦争、サプライチェーンの懸念)
(2)米国の金融引き締めがリセッションをもたらすか、もたらすとすればいつか?ということだ。

しかし、米国については、リセッションに陥らないと考える投資家もそこそこいる。
リセッションに入りそうなタイミングでウクライナの復興需要がでて、好景気持続という考えもあろう。

1-3月期の米国実質GDPについて、GDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は前期比年率2.6%増と、昨年10-12月の1.7%増から伸びが加速した。
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インフレによって形式的に実質が抑えられている面もあろう。実は実質GDPが示すほど悪くはないという見方もある。
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物価が気になるのは、
(1)所得が増えないのに、物価だけ上がるのは心配だ。
(2)物価が上昇し始めると、金利が上がるのではないか?
 (A)住宅ローンを変動で借りている人は多い。将来の返済が不安になる。
 (B)国の借金が多い。財政は大丈夫なのだろうか、と不安になる。
(3)今回の物価上昇は、利上げして需要を抑制しても効果がないのではなかろうか?利上げの目的は需要抑制ではなく、円高を促し輸入物価を押し下げることである。

まぁ、以上はとにかく、今回も参考までに、為替相場と物価の関係を概観する。

最初に、物価との関係では、ドル円ではなく、(貿易は全てドルで行っているわけではないので)実効為替レートである。

で、実効為替レートはドル円ほどダイナミックには動いていない。
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為替相場の変動が物価上昇率に反映するのは1年かかる。その意味で、日本の物価が上昇し始めるとするなら、4月頃からとなるが、過去を見ると、円安になっても必ずしも物価が上昇するということはない。
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グラフの物価は、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」。日本で通常使われる「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」とは違う。加工食品も除いている。
また、2021年の携帯料金の変動の影響も調整している。

となれば、利上げはどうなのだろう?
日本の物価上昇はエネルギーと食品だ。利上げで対処するのは違うかもしれない。












中国株は、米国から締め出され、景気減速(都市ロックダウン)で冴えない。
米国株は、利上げで株価停滞。
日本株は、先行き不透明感から停滞。
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ところが、円換算で見ると、日本株がビリ。中国株より下に来てしまう。
そして、米国株は停滞ではなく、堅調に見えてしまう。株価だけ見ていると、パッとしないが、為替で相場がまるで変わる。
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参考までに、NYダウ、S&P500、Nasdaqを見ると、結局、S&P500が最も良好。
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ドイツも冴えない。
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米国だけ。なんだかなぁ。
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