Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2022年02月

ロシアの主要な銀行をSWIFTから排除することが決まった。
*その昔、私は外国証券事務をしていたことがあり、SWIFTは知っている。しかし、銀行の除外は誰がどのように決めるか知らない。米国が決めるなら、日本はそれに賛成するというだけのことか?
日本もロシアの一部銀行をSWIFTから排除することを決めたということだが、これは円のコルレス勘定を利用できなくしたということか?? まぁ、いいか。

ロシアは輸出入を含め、これまで通りの経済活動はできなくなる。
しかし、貿易が全面的に止まるわけではない。
全てのロシアの銀行が除外されたわけではない。
また、エネルギーや食品に関する支払いは例外とするかもしれない(どうやって見分けるかはわからないが)。
仮に、全て除外しても、三菱UFJロシア現法と三菱UFJ 日本の間の送金は、SWIFTを使う必要はない。同様に、ソシエテジェネラルロシア現法とソシエテジェネラル仏の間の送金もSWIFTを使う必要はない。

更に、円もユーロの利用も排除されても、元がある。中国もSWIFTに替わるメールシステム(CIPS)を持っている(ロシアのシステムSPFSとつなぐこともできるのではないか?)。
本当に下手をすれば、元の国際流通が増えて、中国が大喜びということになりかねない。
ただ、今の雰囲気では、中国も許容しないかもしれない。中国は巻き添えになりたくないからだ。

それでも、今回、ドイツがロシアの主要銀行をSWIFTから排除することを決めた裏には、影響を相当和らげられると見たからかもしれない。そうであれば、金融市場もパニックになる必要はない。
*事前にわかっていれば、ショックがないように手を打てるのだろう。さじ加減しながら制裁している。リーマンショックの時は、それができなかった。FRBはリーマンのような大手の銀行なら助けるのかと、世論の反発がすごかったからだ。しかし、今回は、さじ加減しても、世論の反発はない。

ロシアがSWIFTから排除されると、長期契約でロシアから資金調達していたところは、今後の融資が止まるので、たちどころに困る。しかし、FRBなど各国中央銀行は資金不足緩和措置(流動性供給)をとるだろう。
とともに、各国が採りつつある量的緩和縮小、利上げのスケジュールも変わるだろう。

ロシアにとってより打撃となるのは、各国中央銀行がロシアの外貨準備を凍結することだろう。
外貨準備の多くは、各国中央銀行に預けられている。これが凍結されれば、ロシアの国際金融は自由が利かなくなる。金(Gold)はあるが、確か外貨準備総額の2割程度、しかもロンドンにあるようだ。それに、金では決済に使えないだろう。そんなものをどうやって瞬時に運ぶのか!

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どこかのtwitterから拾った。しかし、元は日経っぽいなぁ?

ロシアは、米国から資産凍結されることを恐れて、これまで、せっせとドル資産をユーロに移してきた。しかし、今回、そのユーロも凍結されたのは、ロシアにとって誤算だっただろう。

金融・商品市場は、全ての動きを消化できていないのは明白だ。
リスクもそう感じていないので、リスク回避の動きも限定的だ。

リスクをそう感じていないのは、世界中がロシアを一方的に非難することで結束しているからだ。
勝負あったということだろう。唯一のリスクはロシアが核兵器を使うことだが、あっても誰も被害を受けない海上でデモするくらいだと考えていると思う。
ただ、私は、これまで私が想定していたことが全て裏切られているので、これ以上ロシアを追い込まないでほしいと思っている。





ロシア、ウクライナの混乱で、メリットを受けるのは米国ではないか?

ロシアとウクライナはともに、小麦の最大級の輸出国だ。
ウクライナはトウモロコシの最大級の輸出国である。
ウクライナは既に輸出が止まっている。ロシアも止まれば、小麦、トウモロコシの価格は更に上昇するだろう。

日本は小麦の輸入国だ。日本はロシア、ウクライナから輸入はしていないが、相当部分は米国から輸入している。
日本は、またとうもろこしの大口輸入国である。やはり主に米国から輸入している。
だから心配ないということはない。価格にしても輸入量にしても玉突き式に影響を受けるだろう。


原油、天然ガスもしかりだ。
原油・天然ガス価格が上昇しても、米国に影響は少ないだろう。

以上は私の記憶で書いているので、誤りがあるかもしれない。
調べてみないと確かなことは言えないが、たぶん、日本も相当な被害国だと思う。


美木多にさん、戦争が早く終結するようにという意味ならいいのでしょうが、日本国民も助けてほしい。小麦補助金として日清製粉にでも寄付して、その分価格が上昇しないようにしてほしい。(この部分は冗談なので、真に受けないでください。不適当な発言)


ロシアが軍事侵攻したので、「プーチンが悪い」一色になった。

本田圭佑が「最初から(ゼレンスキー大統領が)協議を申し出てたら余計な犠牲者は出なかったかもしれない」とツイートしたら、
・戦争より、それ以上に(協議により)侵略され蹂躙され祖国を失うという事の方が恐ろしいとウクライナは考えたのだ。
・ウクライナ側は最初から協議を促してたはずだけど無視して侵攻したのはロシアじゃないか。
こういう反応ばかりだ。

軍事侵攻は無条件に悪なので、殆どがもうそこしか見ていない。全てプーチンが悪いことになっている。当初の協議もプーチンが拒否したことになっている。

ウクライナのことはウクライナ自身が決めればいいので、ロシアに左右される必要はない。
では、自分のことは自分で決めるので、他人にとやかく言われる筋合いはないのか?
他人を恐怖にさせるようなことでも、法律がなければ自由にやってよいのか?
(注 中国はの王毅外相はNATOの東方拡大に対するロシアの懸念には適切に対処すべきと述べた。)

自分の土地をどのように使おうが自由と、大量にごみを捨てた。その土地の下側の人が「土砂崩れがあれば危険なのでやめてくれ」と言っても、「従う必要はない」と、ますますゴミを捨てる。そして、台風が来て土砂崩れが起きると、大量のごみが流れ出て大惨事。自分の土地であっても、万一のことを考える必要があるだろう。

今回の問題は、プーチンをそこまで追い込んだほうには問題がないのか?
勿論、追い込まれたとしても、軍事侵攻が許されるわけではないが、では、どうすればよかったのか? プーチンは、「他に選択肢はなかった」と言っている。

私が、読み間違えたのは、ゼレンスキー大統領が強硬過ぎたことだ。
北方領土だって、竹島だって、台湾だって、(本当は)香港だって、時期が来るまで現状維持で行くしかないのではないか?戦争してまで、多くの犠牲者を出してまで決着をつけることなのか?

2019年にゼレンスキー氏がウクライナ大統領になった当初は彼は和平的であった。ユダヤ系であり、ウクライナ東部出身で母国語はロシア語。大統領になる前まではウクライナ語はできずロシア語を使用していた。(大統領当選以降はウクライナ語を勉強し、今はほぼウクライナ語のみで通している。)
それが、2年ほど前から、急にNATOに入りたいと切望し始めた。何があったか知らない。
今は、さかんに、国民にロシアと戦うように勧めている。

ゼレンスキー氏は、ここに至って、「中立化で協議の用意 ロシアに呼び掛け」ということだが、今更遅い。ロシアは侵攻の大義名分を作ってしまっている。

ここまで来たら、早期・確実な解決は、ゼレンスキー大統領の国外逃亡しかないと思うが、
在英ウクライナ大使館によると、「ロシアの一番の標的は自分だ」と自認するゼレンスキー氏は、侵攻開始後に米政府から脱出機会を提供されたものの、「戦いはここで起きている。自分が必要なのは、乗り物ではなく砲弾です」と断ったという。
プーチンも基地外なら、ゼレンスキーも同様だろう。

私の読み間違いはゼレンスキーが折れなかったことだが、ゼレンスキーの読み間違いは、西側が助けてくれなかったことだろう。相当、根に持っている。米国にロシアをもっと制裁してくれだの、ドイツにもそれに協力しろとか言っている。
否、それが計算だったのかもしれない。(米国もNATOも派兵はしない。軍事介入しないと言い切っていて、ゼレンスキーも分かっていたはず。)

ウクライナのゼレンスキー大統領は、土曜日の最新のビデオメッセージで、ウクライナ国民にこう語った。
「我々は敵の攻撃に耐え、撃退に成功した。我が国の様々な都市や地域で戦闘が続いている。」
ゼレンスキー大統領は、ウクライナは現在、対ロシア制裁の議論の中心となっている国際決済システム「SWIFT」からロシアを排除することを「EU加盟国のほぼ全面的な支持を得ている」と述べた。
「(SWIFTからロシアを排除することに反対する)ドイツとハンガリーには、この決定を支持する勇気をもってもらいたい」と述べた。
また、ウクライナのEU加盟について、「長年の議論を終わらせる決定的な瞬間が来た」と述べた
また、ロシアの侵略に抵抗するよう、ウクライナ人に改めて訴えた。
「ウクライナ人一人ひとりが心に留めておくべきことは、占領者を止め、破壊することができるのなら、それを実行に移すことです。ウクライナに帰ってこられる人はみんなウクライナを守るために帰ってきてください」
彼はまた、海外からのボランティアにも訴えた。
「我々に加わりたい友人たちよ、どうか来てくれ、武器は提供する」
ロシア語に切り替えたゼレンスキーは、再びロシア人に向かって直接語りかけた。
ロシアの独立系新聞社「ノバヤ・ガゼタ」の代表ドミトリー・ムラトフ氏ら、ロシアの反戦活動に感謝し、次のように述べた。
「ロシア人は何千人もの死者と殺戮のために送り込まれている」

ゼレンスキーは、世界中で反プーチン運動が起きていることで、勝てると思っているのかもしれない。どんな犠牲*を出しても、ウクライナのEU加盟を決定してほしいと言っている。今や、世界がウクライナの見方だ。ゼレンスキーが何を言おうと反対する人(国民も含め)はいない。
ロシアの軍事侵攻→反プーチン運動→ウクライナのEU加盟
を読んでいたとしたなら、たいしたタマだ。

*人命だけでない、人々の生活を脅かし、船舶や建造物の破壊、エネルギーの不足、原油価格の高騰、世界貿易の停滞、物価高などなど。

今や一般的な意見は
[社説]プーチン大統領には停戦しか道はない: 日本経済新聞

しかし、実態は、ゼレンスキーの陰謀ではないかと思うようになってきた。
今回のウクライナ問題、何か違和感を感じる。




以上、出所は明示していない(自分でも、忘れた)が、あちこちから引用している部分がある。










ウクライナ問題は楽観的だが、台湾問題にとって、痛い事例になりそうだ。

外交協議でNATOがロシアの要求を受け入れなかったことから、ロシア軍の侵攻が始まった。
今回の問題は、本来ウクライナとロシアの問題であるのに、米国がしゃしゃりでてきていることだ。

(1)米国は口だけで、武器の提供は続けてはいるが、(ウクライナは同盟国でもないからか)軍隊のウクライナ本土への派遣はしない。
米国は自分で参戦しないので、妥協はしない。
欧州は、ホンネを言えない状態だ。米国が妥協しないので、うっかりホンネをだすと、マクロン大統領のように恥をかく。

(注)台湾が中国に攻めこまれた時も、米国は口だけになることを証明したようなものだ。

(2)米国、EU、英国、日本、カナダなどがロシアに対する経済制裁(資金調達不可など)を発動。しかし、ノルドストリーム2の停止だけで、原油や天然ガスなど、ロシアとの貿易取引を全面的に禁止にはしていない。

SWIFTから排除となった場合は、ロシアとの貿易取引がほぼ停止になる。高インフレ、金融不安が起こり、リーマンショック級のことが起きるかもしれない。金は暴騰する。但し、これは米国にとって何の得もない。
今は、米国は必ずしも当事者ではない(軍隊の派遣さえしていない)が、こうなると話は違ってくる。米国自身に何の得もなく、重大なダメージを食うだけである。
一方、ロシアは、中国や反米諸国との貿易により、ダメージは受けても耐えられるだろう。
こういうところまで行きつかないだろう。

(注)台湾が中国に攻めこまれた時も、米国は中国が保有する米国債を凍結できないだろう。それをすれば、米国企業の中国資産も凍結されるという報復を受けるからだ。

(3)ロシアの外貨準備高は潤沢で、デフォルトリスクは小さい。

(注)中国も外貨準備は潤沢で、経済制裁でデフォルトリスクは小さい。

(4)解決策は一つしかない。外交で片が付かないなら、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が「ウクライナ自身がNATO加盟を放棄する」ことだ。
今回の騒動の前の状態に戻るだけで、できないことではない。
ロシアはキエフなどに侵攻する様子はない。ウクライナを統治する意向はないようだ。全面戦争はロシアも望んでいない。

(注)台湾の場合は、香港のように中国側から動く可能性がある。



以上のように、今回の問題は誰も損せずに解決可能だ。但し、ウクライナはNATO加盟という得はあきらめなくてはならないが。

それがわかっているので、金価格も原油価格も最悪の事態を織り込むにはほど遠い。株価の下落はウクライナの問題だけではない。


天然ガスの価格は急騰しているが、昨年の天然ガス不足騒動の時ほどは上げていない。
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Dutch TTF Gas Mar '22 Futures Interactive Chart - Barchart.com

Dutch TTF Natural Gas Calendar Month Futures Quotes - CME Group


日本のGDPは停滞している。
コロナ禍前(19年10-12月期)の水準も回復せず、増してや消費税増税前の水準ははるかに遠い。
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名目GDPの停滞が続いて困るのは、
(1)世界の中での日本のプレゼンスが落ちる(国連分担金の低下や、農産品等の買負け、防衛費を増やしにくいなどなど)
(2)雇用者報酬も伸びないことになり、生活が徐々に苦しくなっていく。商売も売り上げが伸びず、苦しくなっていく。こんな状態で原材料が上がれば、企業運営は非常に厳しくなる。

雇用者報酬は、一時的に伸ばす(伸びる)ときもあるが、結局、名目GDPの伸びに落ち着く。
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どうして、経済回復が鈍いのか
(1)消費税増税で消費が落ち込んだところに、コロナ禍に入り、雇用者報酬がそれほど落ち込んだわけでもないのに、消費マインドが冷え込んだままである。社会保険料がチマチマ上がっていっているのも消費者の将来不安を掻き立てる。財政赤字拡大を異常に国民に心配させ、将来の増税・社会保険料増(そういえば、失業保険料も上がる)、年金減の不安を煽っている。
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(2)原油価格などエネルギー価格が上昇しており、原油の輸入量は増えていないのに、輸入金額ばかり増えている。日本が輸出や海外で稼いだお金を原油の値上がりで持っていかれている。家計は、光熱費が増え(使用料は同じでも、使用料金は増える)、その分、他の消費が抑えられる。原油価格があがれば、ガソリン価格も上がり、輸送コストも上昇、ハウス栽培コストも上昇、などなどで物価は上昇。ますます消費が手控えられる。


どうすればいいのか?
日本は、国際収支上の所得収支が大幅プラスで、安定的な経常黒字国である。
消費が増えて、輸入が増えて、貿易赤字になって、経常赤字になって、その分、海外から借金しなければならないということはない。
であれば、消費マインドを上げて消費意欲を高めることである。
消費意欲を高めるには、安定的な所得を保証することである。(昔のように、経済成長が続いているときは、そんなことをしなくても、将来の賃金増は想像できた。)
一時的な賃上げは必ずしも消費に回らないばかりか、一時的な賃上げができない企業も多い。
結局、安定的な所得の保証は一つしか手がない。例えば、政府が四半期ごとに全国民に一律10万円を給付することである。財源は、国債発行、累進課税、金融所得課税、金融資産課税である。経済が拡大してくれば、税収が増えてくるので、国債増発などは不要になる。
たぶん、この分配政策しかないような気がする。

あるいは、インフレによる物価上昇と賃上げのスパイラルである。名目GDPは拡大する。ただ、これは今の日本にとっては厳しいかもしれない。


















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