Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2021年11月

一目瞭然
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続きは、次の別サイトに
異常に鈍い日本の経済回復力 - Kecofinの投資情報 - GogoJungle

2021年11月2日のオーストラリアの金融政策決定会合以来、米、英などで、市場の早期利上げ観測が否定され、各国の金利が低下している。
それに伴い、ポンドや豪ドルは売られている。
利上げ期待が強かった通貨ほど、売られている感じだ。

オーストラリアは、インフレ高騰が続かない理由として賃金の伸びが低いことを挙げている。
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英国は賃金上昇を予想しているが、インフレ高進見通しより成長減速への懸念を重視した。

ECBのラガルド総裁は、11月3日の講演で市場の利上げ観測を性急だとしてけん制した。

米国パウエル議長も意味不明なことばかり言っているが、利上げには慎重な姿勢を見せた。
・賃金上昇が続いているが、賃金上昇スパイラルが起こる兆候はまだ出ていない。
・物価上昇率は2%を上回っているが、長期的に平均で2%になるようにする。
・失業率が低くても、最大雇用とは言えない。
・コロナ前の雇用水準に戻らなくても、最大雇用かもしれない。
 最終的には判断の問題だ。

もう少し詳しくは有料サイト
◎重要◎世界的な金融政策の意外な変化 - Kecofinの投資情報 - GogoJungle







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消費者物価上昇は過去からのトレンドから逸脱している。
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しかし、FRBが重視するのは、消費者物価でなく、個人消費支出価格指数の長期トレンド2%。これだと・・・・・・

別サイトに
米国の物価上昇率(グラフ) - Kecofinの投資情報 - GogoJungle






(1)10月は、債券ヘッジファンドが大乱調のようだ。金利動向が全く読めない。
(1b)投機筋の債券ポジション
(2)金利が読めないので、為替も読めない
 11月2日、豪州金融政策 ハト派的に
 英国も
 11月 日 FOMCでパウエル議長も  背景は再任狙い?
(2b)為替相場の決定要因が? 円以外
(3)米国株高の背景
 ISMとGDPのギャップ (物価高も要因)

 株高持続が基本線も、突然のリスクは、間もなく発表される予定のFRB議長人事。
 最近の債券相場の不安定もここからきているのでは?
 交代となれば、政策の不連続ということだ。
 ブレイナード氏が指名された場合、上院ではすんなりと承認されない可能性がある。

(4)FRBがインフレを一時的と考えている背景 stickyprice
(5)FRBが気にしている統計 wage-growth-data
(6)エネルギー危機 経済急回復 脱炭素政策がもたらした電力危機
あらゆるもの(特に食品、加工食品)の物価に波及 物不足も




(#)"Quora"って、初めて知った。利用価値はあるのだろうか?



首相:全く不可解
公明党:子供一時給付金
立憲民主党:新代表 共産党との共闘は?
維新:身を切る改革 & 改憲






この件について、日経記事をもとに、憶測を含めて解説したいと思う。
なお、日経の第1報はいい記事だと思う。優秀な記者なのだろう。

SMBC日興証券社員らが証券取引等監視委員会の強制調査を受けている。
容疑は株価操作=金融商品取引法違反。

何があったか、適当に話を作ってみた。
(1)朝9時に、機関投資家(A)がSMBC日興証券(以下B)に「中小型銘柄C(時価総額500億円程度)を100万株売りたい」と言ってきた。その時のCの市場価格は1000円だった。日々の出来高は30~50万株程度。
100万株を市場に出せば、相場は大幅下落するのは必至なので、ブロック取引(下の<付録>参照)にすることに両者で決定。

(2)Aは市場価格の4%引きでも売りたいということであった。それを受けて、Bは市場価格の3%引きなら買うという投資家を探す。通常は、30分~2時間程度で(要は午前中に)探すと思う。
(注1)Bは直接、信頼できる顧客の投資家に電話をかけて意向を聞く。あまり多くの不特定の顧客に聞くと、大口の売り手がいると噂が広がって株価を下げるので、短時間で慎重にやる。なので、ブロック取引ができるのは良質・多数の顧客をもつ大手証券会社に限られるだろう。
(注2)形式的には、BはAから4%引きで買い取り、投資家に3%引きで売ることになる。したがって、この取引は仲介ではなく、相対取引である。そして、この4%と3%の差の1%が証券会社の利益になる(相対なので、仲介手数料はない)。

(3)午前11時、Bが買い手(通常は、複数社)を探してくると、BはAから「Aは今日の終値の4%引きでBに売る」という注文と、買い手の投資家から「投資家は今日の終値の3%引きでBから買う」という注文を預かる。この段階では、正式の売買契約を結んだわけではない。
(注1)売り手の心変わりでキャンセルになることもある。但し、買い手がキャンセルすることは聞いたことがない。買い手がキャンセルしたら、2度と証券会社と取引ができなくなるだろうからだ。
それでも、買い手もキャッシュを作って成立を待っているので、証券会社はキャンセルのないように努力する。成立しないと困るのは、利益がなくなる証券会社もそうだが、顧客も困るのだ。
(注2)ブロック取引は、たいてい大口の売りから始まる。投資家から「C銘柄を市場の3%高で100万株集めてくれ」という注文は殆どない(ないことはないが)。なので、ブロック取引は売り手が大事にされる。
(注3)証券会社がブロック取引をしたがるのは、利益がしっかりとれるからだ。通常取引では、手数料の自由化で売買手数料は極めて低くなっている。

(4)午後、気を付けていても、どこかから大口の売り手がいるという噂が漏れ、C銘柄に売りが出て下げ圧力がかかる。あまり大きく下落すると、Aは売りたくないと言い出すかもしれない。そうなると、Bはせっかくここまで話を煮詰めたのに、パーになってしまうので、Cの価格が下落しないように、買い支えたようだ。これを、証券取引等監視委員会は株価操作(金融商品取引法違反)と見ているようだ。

証券会社は、通常、自己の勘定で種々の取引をしている。裁定取引もあれば、マーケットメイク的なものもあろう。投信設定のために株を集めることもある。自己勘定でのデイトレードもある。BはCを買ったのは、「買い支える為でなく、こうした売買の一部にたまたま入っていただけである」と主張しているようだ。Bは株価のくぎづけのようなことはしていないようであり、実際株価が下落したこともあったようだ。
株価操作があったとしても、短時間、気持ち買い支えただけであり、株式市場に与えた影響も大きいとはいえないようであり、私には処罰に値するようには思えないのだが・・・?
米国や、英国などでは、この程度のことは普通になされている気がする?
勿論、私が持っている情報は日経新聞の記事だけなので、私が知らないことがある可能性も十分ある。
それに、「この程度なら」と思うだけで、黒に近いことは事実のようで、何らかの処分があってもおかしくはない。

<付録> 株のブロックオファー
大量の株式を売却する際、市場で売却すると自分の売りで値を下げてしまうため、証券会社を通じて特定の投資家に市場価格より割り引いて売却すること。
・売り注文を受けた証券会社が買い手の投資家を見つけてくる。。
・金額は、銘柄によるが1億円から100億円以上の時も。
・割引は1~5%程度だが、3%程度が多いと思う。
・主に、中小型株でなされる。(トヨタのような大型銘柄では、ブロックオファーの必要はないだろう)
売主は市場値を崩さず、まとまった金額の株式を売却でき、投資家は割引価格で購入することができる。
また、投資家は、ディスカウントで買うことに意味がある。投資家は毎日パフォーマンスを出す。その時の評価はその日の終値を使う。その終値に対してディスカウントで買っていれば、買うと同時に含み益ができることになる。その分、その日のパフォーマンスが上がる。

最後に、私の感想。
証券会社には流動性を提供するという崇高な使命がある。
今回の件で大きな不利益を被った人はいないようだ。そのなかで売買が成立した。
Bは、相場操縦でトレーディング益を得たわけではないし、誰かを儲けさせたわけでもない。
Bがしたことの内容にもよるが、監視委は杓子定規な判断をするべきではないと思う。
あまりに厳しい処罰をすると、証券会社は委縮し、流動性が低下する可能性がある。
それでは、投資家のための規定が、投資家に不利益をもたらすことになる。






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