Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2021年02月

投機筋の為替ポジション(シカゴIMM通貨先物ポジション
<参考>
【最速更新】シカゴ投機筋IMMポジション推移【FXに活かす】

ユーロ/ドル
投機筋のネットポジションは、ややユーロ安方向に向いている。
相場をリードするショートポジションだけを見れば、明瞭だ。但し、水準的には強くはない。
(ロングポジションよりショートポジションの方が相場に反映しやすい)
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円/ドル
相場が円安(ドル高)に進んで投機筋のポジションに追いついた。
投機筋のポジションは、依然円安(ドル高)方向に向かっているようだ。
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ヘッジファンドなどの大口投機筋(Non-Commercial)より動きが早い、小口の投機筋(Nonreportable Positions)の動きはさらに円安の108円程度を見ているようだ。
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なお、当たり前だが、相場を投機筋のポジションで予想できるわけがない。
にわかに動意づいてきた米国金利や国際収支にも注意だ。コモディティーの動きにも注意。

今日、中国国家統計局から2月のPMIが発表された。
中国製造業PMI、2月は9カ月ぶり低水準-サービス業も低迷 - Bloomberg

50.6と、前月から0.7下がった。低下は3カ月連続で、昨年5月以来の低い水準。高騰していたコモディティー価格は下落、資源国通貨は低下となりそうだが、「春節が昨年の1月下旬から今年は2月中旬にずれ、製造業の活動が低下する時期に当たった」一時的特殊要因との見方もある。

考えることは多い。

だからどうだというわけでもない、意味があるのやらないのやらの話。

米国の30年の実質金利がプラスになった。
実質金利とは、名目金利-期待インフレ率 なので、
これがマイナスだと、債券を保有しているとインフレに追いつかず、目減りしていくことになり、
プラスだと、実質金利分だけ保有価値が増えるということだ。

市場は非常に長期的には期待インフレ率を2%程度だと見ているようなので、債券利回りが2%を超えると、債券の保有価値が目減りしないということだ。
「だから、市中のお金は現物資産から30年債に移る」と言えるような気がするが、実際には何も起きないだろう。あまりにも期間が長すぎる。

10年実質金利は上昇したと言え、まだ▲0.75%程度であり、十分緩和的(債券より実物資産の方が有利)だ。

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金利と株価の関係は結構複雑だ。

その昔、金利上昇⇒株価下落(逆も真)
2000年代、株価上昇⇒金利上昇(逆も真)
そして今、金利上昇⇒株価下落

今は、結構複雑だ。既にゼロ金利になっていて、金利上昇⇒株価下落 はあっても、
金利低下⇒株価上昇 は難しくなっている。

2009年12月、私が現役時代に書いたコラムが懐かしい。
もともとは、どこかの金融リテラシー向上に取り組む会社が、何か問題を作ってくれと言ってきて、
その一つとして、「一般に金利が上がると株価が下がると言われていますが、その理由として適当でないものを、次の中から選んでください・・・・」というようなところから書いたコラムだ。
今は当時の会社のホームページからは削除されている。
債券と株価の順相関・逆相関、日本と米国の場合まで論じていた。

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一般的に、(1)~(4)の理由で、金利の上昇は株価下落要因になります。
ですから、株式市場の参加者は金利を気にします。




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Fedの三つ目の目標は、住宅バブルを起こさないことである。
長期間金融緩和を持続すると、資産インフレの可能性が高まる。
プラザ合意の後、まさに日本がそれで失敗し、不動産バウルを起こし、バブルが崩壊した後は、デフレが起き、失われた20年に突入した。

雇用の拡大に夢中になり、多少のインフレを容認している間に、住宅バブルが起きては困る。
今、その兆しが見える。下のグラフ参照
ここは、金融緩和は続けるが、長期金利上昇⇒住宅ローン金利上昇⇒住宅価格抑制 は必要と考えているかもしれない。
ならば、この長期金利上昇は、金融緩和を長く維持させることにつながるのではないか。やっぱり、株式市場の上昇トレンドは崩れていないと思える。

可処分所得の伸びに比べ、住宅価格の上昇が加速し始めている。
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ところどころ可処分所得が凸になっているが、直近の凸は新型コロナウイルスの経済対策として国民1人あたり1200ドルの現金給付がなされたことを反映している、その他の凸はマイクロソフトの配当だったと思う。1社の配当がマクロ統計に明瞭に出るくらい凄いものだったということだ。

名目GDPに比べても、住宅価格の上昇が加速し始めている。
20210227b

まだ、住宅バブルの状態にほど遠いが、そうなってからでは遅い。
物価の上昇は一時的で収まるかもしれないが、住宅価格は、金融緩和を維持したままで、放置すれば住宅バブルになるリスクがある。


FRBの金融政策 
<目標>
労働市場が、FOMCが完全雇用と評価する水準に到達し、インフレ率が2%に上昇し、2%を緩やかに上回る状態が当分続くこと。 
長期的に2%の物価上昇率が目標なので、今のような2%を下回る期間が続けば、その後は2%を超える期間が続くことが必要になる。

物価上昇率2%を目標に、デフレに陥らないことを確保
昨年1月29日のFOMC声明文で、物価について、「インフレ率の推移を支える」から、「対称的な物価目標である2%近くでインフレ率が回帰することを支える」に変えた。
数人の委員から「インフレ率の推移を支える」では2%以下のインフレ率で満足しているような誤解を受けるかもしれないとの指摘があったからで、FOMCは「2%の物価目標を下回ってインフレ率が推移し続けることに満足していない」というメッセージを明確に発信するための修正だとした。
FRBは、物価が2%を回復し、再び下落しないことを望んでいることを忘れてはいけない。

<政策>
FRBは新型コロナウイルスだけでなく、その余波で長期間続く可能性の高い景気悪化に対しても、長期的な戦いに取り組んでいる。

第1段階 利下げ 実質ゼロ金利に
第2段階 量的緩和 金融資産(国債、住宅ローン担保証券)を買い入れ
第3段階 フォーワード・ガイダンス 昨年9月16日のFOMCで、2023年まで実質ゼロ金利を示唆
第4段階 そして、市場は、第4段階として YCC(FRBはイールドカーブのフラット化)を期待していた。FRBも「保有資産の構成や残存期間、規模、購入サイクルをシフトすることもできる」としていた。
またパウエル議長は、「追加の財政支援が、適切な時期に議会が適切と考える規模で行われれば、より力強い経済回復につながるだろう」「多くの議員が追加的財政支援の必要性を認識していると思う」とも述べていた。

こうした中で、パウエル議長は、今次上院・下院委員会での議会証言で、長期債利回り上昇について、
「底堅い景気回復に市場が自信を持っている証しだ」と当面は静観する考えを示した。
また、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、最近の米10年債利回り上昇は成長見通しを反映する「妥当な」もので、良好な兆候(インフレ期待の高まりを目指すFRBにとっては「歓迎すべき動向」)と述べた」

そもそも、今や国債の最大の買い手はFedだ。誰が米国国債を買っているか
その気になれば、Fedは長期金利上昇を止めることはできる。その気がないどころか、長期金利上昇を歓迎している。

もはや、市場が期待した第4段階はなくなったということだ。
これが今回の相場調整を起こした背景だ。
しかし、ボスティック米アトランタ連銀総裁の言うように、「FRBの責務は完全雇用。GDPではない」なら、今の金融政策は予定通り維持されよう。しかも、底堅い景気回復となれば、株式市場にとって悪いはずはない。
"stay tuned"

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