Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2020年08月

サマセット・モームのココスモポリタンズにあった気がするが、炭鉱夫の話。
できて100年になる炭鉱。ある炭鉱夫はいつ落盤事故が起きてもおかしくないと気が気でない。しかし、別の炭鉱夫は100年も無事だったのだから、何も心配することはないと言う。

新型コロナパンデミック。どんなに気を付けていても、かかるときはかかると、過度に自粛してもしようがないと思う人も多い。
しかし、それほど感染リスクが高い(どんなに気を付けていても、かかるときはかかる)のだから、いくら注意してもしすぎることはない、不便を感じても、生活に支障があろうとも、十分な自粛は必要だと考える人もいる。
人それぞれだ。しかし、それだと、考えの違う人同士で衝突が起きる。互いに相手に不満を持つのだ。

悩ましいのは、感染した時、自分だけの問題ではないことだ。
ある会社で、社員の家族が感染した。本人の検査結果は陰性だったが、会社はその社員が働くフロアーは閉鎖し、消毒に2週間かけた。その間、フロアーの従業員は全員、他の場所に移動して労働。

私は自粛派だが、レストランやカフェに人がいっぱいでびっくりしている。勿論、席と席の間は広くとり、以前よりお客の数はず~と少ない。片隅に、机と椅子が重ねられており、それだけ間引いているのだとわかる。マックを覗くと、各席が不使用になっている。
それだけ気を配っているのだから、利用してもいいかとも思う人も多いだろう。
それでも心配だと考える人も多いだろう。

不思議に思っているのは、パチンコ屋でクラスターが発生しないこと、否、感染したという話も聞かない。本当に、新型コロナには悩まされる。

安倍首相の外交は、100点とは言えないまでも、これ以上のことをできる人はいなかっただろう。
安倍首相の悲願は、①憲法改正、②北方領土問題の解決、③北朝鮮拉致被害者の奪還であるが、これらはどれも達成できなかったが、だからと言って非難できないだろう。どれもあまりにハードルが高すぎる。

私が残念に思うことは二つある。①アベノミクスを成功に導けなかったこと、②少子化問題に対して方向を変えるほど有効な策を打てなかったことだ。

(1)アベノミクス
アベノミクスは金融緩和と規制緩和で経済を巡航速度(2%の物価上昇率、3%の名目成長率)に乗せることだ。なぜできなかったのか?一方で、増税と社会保険料の引上げでブレーキをかけていたからである。
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国民負担率とは、国民所得に対して税金や健康保険料などが、どれぐらいの比率になるかという数字。
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経済が既に巡航速度で成長しているときは、国民負担率が高くなっても、経済は耐えられるだろう。しかし、経済が停滞しているときに、こういうブレーキをかけたら、経済は浮揚しない。飛んでしまえば、そこまで推進力は必要としないが、離陸するときは大きな力が必要なのだ。

今の日本経済はもはや、金融緩和というアクセルは踏めない状態になっている。アベノミクスは失われた‥年を脱する最後のチャンスだった。これに失敗したからには、産業革命的な力がないと、経済停滞から抜け出すことは極めて困難だろう。

黒田総裁は、当初、財政再建派(消費税増税推進派)だった。マネーさえ拡大すれば2%物価上昇を達成できると考えていた。考えが甘かったということだ。
本来アベノミクスに増税はない。それは就任前に(アベノミクス前に)決まっていたことだった。安倍首相にとっては不幸なことだった。

アベノミクスの低金利政策だが、利下げは一時的だと効果があるが、長期間にわたると逆効果になる。その間に、国民の保有国債なども償還を迎え、国民の利息収入は減っていく。その分、消費も減るだろう。それに、ゼロ金利(マイナス金利)で銀行が苦しんでいるではないか。通帳まで有料になるという。経済成長の阻害要因になっている。


(2)少子化対策
何もしなかったわけではない。待機児童解消加速化プラン、放課後子ども総合プラン、働き方改革実行計画、子育て安心プラン、教育の無償化=幼児教育の無償化 私立高校の無償化 高等教育の無償化、児童手当などやってきた。概要は、令和元年版 少子化社会対策白書にある。
少子化社会対策白書

しかし、インパクトに欠けるのだ。本気で取り組んだとは思えない。少子化傾向は続いており、状況が好転しているようには思えない。安倍首相にとっては優先課題でなかったのは明白だ。
少子化問題こそ、日本経済が停滞している最大の問題だと私は思う。そして、これは遅れれば遅れるほど、その問題は大きくなり、手の打てない問題になっていく。
もはや、半分手遅れになっている。

ハンJ速報 より

2013年
・アベノミクス提唱
・東京五輪招致決定
・マイナンバー関連4法案が可決、成立
・消費税率8%への引き上げ決定
・特定秘密保護法が成立

2014年
・武器輸出三原則を廃止
・内閣人事局を設置(官僚人事を掌握)

2015年
・軽自動車税、7200円→10800円に増税
・学習指導要領改訂で「道徳」が教科に
・安保法制が成立(集団的自衛権を行使可能に)
・TPP交渉合意
・改正公職選挙法が成立(選挙権年齢が18歳に引き下げ)
・慰安婦問題日韓合意

2016年
・自衛隊日報隠蔽問題
・カジノ法が成立
・改正通信傍受法

2017年
・テロ等準備罪を新設
・共謀罪強行採決
・森友加計問題

2018年
・カジノ法案強行採決
・働き方改革関連法が成立
・改正水道法が成立(水道事業の民間委託が可能に)
・改正入管法が成立(外国人労働者の受け入れ拡大)
・消費税率10%への引き上げ決定
・種子法廃止

2019年
・新元号を「令和」と決定
・年金受給開始年齢選択肢 70歳以上まで拡大へ
・日韓貿易紛争
・桜を見る会問題

2020年
・日米デジタル貿易協定
・検察官定年延長問題
・コロナ対策いろいろ 
アベノマスク製造、GOTOヘルキャンペーン、持続化給付金など
・レジ袋有料化


その他
就任早々尖閣の漁業権をタダで台湾に譲渡
兵器をリボ払いで購入(5兆円)
小笠原サンゴ密猟問題を放置
三党合意であった議員定数削減をせず
防衛省が機関銃を米国の10倍の値段で調達
オスプレイ1機200億(適正価格の倍の値段)を17機も買わされる
F35戦闘機 未解決欠陥966件 政府100機追加購入
政府 戦闘機F35Aを1機あたり40億円割高で調達
出生数86万人に
マイナンバー、全口座と連結 政府検討 義務化へ法改正
自衛隊日報隠蔽
北方領土献上+3000億円渡す
中国の尖閣諸島への領海侵犯を許しまくる
コロナがわかってたのに春節時に中国を入国拒否せず

FRBは8月27日、市場関係者にとって想定外の臨時のFOMCを開き、金融政策の新たな指針(2%超のインフレを容認する「平均物価目標」)を決めた。
決めたタイミングはサプライズであったが、内容は想定されていたものだった。
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パウエルFRB議長は8月27日、金融政策の設定における新たなアプローチを発表。
期間平均で2%のインフレ率を目指すと表明。。
声明で、「雇用の最大レベルへの不足分」を基に決定がなされると表明した。従来は「最大レベルからの偏差」と言及していた。
政策当局者17人全員がFRBの長期目標と金融政策戦略を承認した。

2012年に2%のインフレ目標を公式に設定して以来、個人消費支出(PCE)価格指数は平均でわずか1.4%上昇と、目標をほぼ一貫して下回っている。
今回決めたのは「2%の平均物価目標」への変更だ。
パウエル議長は「インフレ率の低下は、極めて深刻なリスクだ」と主張。物価の緩やかな過熱を認めて、企業や家計のインフレ期待を高める狙いだ。
平均物価目標に切り替えれば、ゼロ金利の解除を大きく先送りして金融緩和の長期化につながる。
FOMCは22年末時点でもインフレ率は1.7%までしか高まらないとみており、ゼロ金利政策は少なくとも23~24年まで続きそうだ。

パウエル議長は国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、「広範かつ包括的」な雇用に重点を置くとともに、物価よりも雇用を重視し、最大雇用の確保に努めると表明。低インフレ期間を相殺するため、2%を超えるインフレ期間を容認し、インフレ率が長期的に平均2%となるよう目指す考えを示した。
「経済の中でも、飲食や航空、宿泊、娯楽といった業種は回復が非常に困難だろう。何百万人もの人々が仕事を見つけるのに苦労している。われわれはそういう人々を支える必要があり、少なくとも数年のロングテールを見込む」と明らかにした。

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・上記発表後、株価は上昇。素直な反応だ。基本、株価にはポジティブな材料だ。
・債券利回りは上昇。それに伴って、円安/ドル高。ただし、ユーロは対ドルで横ばい。円だけが反応した形だ。
今回の市場の反応の背景は、今回のFedの決定が全て完全にわかっていたことがある。
そのため、一律の反応にはならなかった。
それにしても、ゼロ金利を長期コミットした形なのに、長期金利の上昇は不可解。
たぶん、一時的な動きだろう。Fedの新戦略発表に向けて債券のロングポジションを取っていた人が、巻き戻したのだろうと思うからである。

シカゴ・マーカンタイル取引所でのユーロ/ドル先物の投機筋のポジションは、彼らがユーロに対して非常にブリッシュ(強気)なことがわかる。
そして、ユーロ/ドルは一段高があってもおかしくなさそうだ。
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しかし、長期的に見ると、今の投機筋のユーロ・ネットロングポジションは行き過ぎ感がある。
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ロングとショートを別にみると、ロングは過去最高水準、ショートも過去最低に近い水準だ。
それだけ、ユーロに強気なわけだが、ここまでくると、巻き戻しのリスクに注意しなくてはならないだろう。
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ここまで、ユーロに強気になったのは、ユーロの景況感(ドイツZEWやIFOなど*)が回復してきていることもあるが、ユーロに強気になったタイミングから見て米国側にも理由がある。
今年3月に、米FRBが臨時のFOMCを開催、1.0ポイントの追加利下げとFRBによる資産購入拡大を決定したこと、つまり異例の金融緩和を始めたことにある。この異例の金融緩和はまだまだ続く。では、ユーロ高/ドル安もまだまだ続くのか?そうかもしれない。
しかし、投機筋のポジションはそれを既に織り込んでいるように見える。
Fedは、次回のFOMCで金融政策の枠組みの見直しを発表する可能性がある。これが材料出尽くしになるリスクには注意したほうがいいかもしれない(あまり自信はない)。

*ドイツZEWの現在の状況
ドイツ ZEW景気期待指数
ユーロ圏 - 景況感
ユーロ圏 - ZEW経済感指標
ユーロ圏 ZEW景況感指数
【ユーロ】ZEW景況感調査 - 経済指標 - Yahoo!ファイナンス
ドイツ IFO景況指数
Germany Ifo Business Climate Index

Ifo Current Conditions
Ifo Expectations

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