Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2020年07月

2015年頃より海外投資家は日本株を売り続けている。
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地域別にみると、
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欧州投資家とアジアの投資家が中心だ。
欧州投資家は、主に英国投資家だ。
英国投資家はオイルマネーの運用金額が大きいだろう。
原油価格の下落でオイルマネーが縮小しているのだと思う。
原油収入が減少し、保有資産を徐々に取り崩しているのではないか?

アジアの日本株売りは、よくわからない。

TOPIXのチャートを見るとわかるが、2015年より停滞している。
海外投資家が売る中で上げるのは難しいのだろう。
それでも持ちこたえているのは、
(1)GPIFの基本ポートフォリオ変更に伴う日本株買い
(2)日銀のETF買い。
(3)自社株買い
があるからだろう。

株価を物理的な需給だけで語るわけにはいかないが、
ファンダメンタルズ(企業業績)の大幅改善は見通しにくいし・・・?

(注)
グラフは、月々の買越額を累積したものである。
但し、これが残高になるわけではない。
株価が上昇すれば、売り越しでも残高は増えることがある。
逆に、売り越さなくても、株価が下落すれば保有残高は減少することがある。
グラフは、売買動向の傾向を見るものと考えてほしい。

残高(時価)については次を。
日本株の部門別保有額
2015年より海外投資家の保有は停滞している。
公的年金(主にGPIF)、日銀ETFの保有が増えている。
事業法人は市場で購入しているが、自社株買いなので、保有残高増加にはつながらない。


発表までに、まだ2週間もあるので、チョッと気が早いが、
参考までに、新規失業保険から7月の非農業部門雇用者数前月比増加数を予想してみる。
見方は前回のレポートを参考にしてほしい。
既に、新規失業保険請求件数の低下は止まり始めた。
これからいくと、7月の非農業部門雇用者数前月比増加数は+2百万人となりそうだが、ゼロ近い数字になる可能性もある。
これからも、ISM指数などでてくるので、さらに分析は可能だろう。
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円高が進んだ。以前なら、誤差程度の動きだが、今は大きく感じる。
今回の円高はドル安である。
つまり、要因は日本側ではなく、米国側にある。米国側の要因は主に二つある。
(1)米国金利が低下した。
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(2)実質金利(=物価連動債利回り)の低下

次にも書いてある。

米、実質金利最低に ドル安進む  :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61908610U0A720C2EA4000/続きを読む

日本の対外株式投資のデータは、やたらケイマン向けが大きかったり、たぶん、債券投資ファンドが含まれていたり、わけのわからない投資部門(その他に分類されているが、巨額の投資家(どこの投資機関だろう?)がいる)があったりと、素直に受け取れない。信用できないというわけでなく、我々が普通に考える外株投資と違うものが混入していると思う。
なので、総合計は無視して、各国別を見る。また、米国統計(米国の日本からの株式投資データ)を参考にする。

ともかく、米国のメガキャップテクストック(巨大時価総額テクノロジー企業)の爆上げにつられて、日本の米国株式投資は急増している。5月の日本から米国株式投資はダントツの過去最大(米国の統計も参考)。
グーグルやアマゾン、アップル、マイクロソフト、フェイスブックなどわかりやすい。別に米国株を詳しく知らなくても、誰でもわかる。そういう株が爆上げしているのだ。銘柄選択など考える必要もない。それで大儲け。投資したくなる。
セミプロになると、テスラやバイオ株(新コロワクチン開発企業など)にも手を出す。楽しい市場だ。
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中国・アジア向けは低調だ。
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足許で金価格が急上昇している。
その背景の大部分は、金利低下である。
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しかし、それでは6月後半からの上昇は説明できない。続きを読む

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