Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

2020年06月

金利は、Fedがゼロ金利政策をとってから、ほぼ止まっている。
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ドル円為替レートは、短期的な米金利との連動を繰り返している。
2019年8月15日から年末までの連動のあと、今年年始から乖離し(米軍がイラン革命防衛隊の司令官らを空爆によって殺害する事件があった)、3月中旬頃から再び新しい連動を形成しているが、なにしろ金利が動かなくなっているので為替相場も大きな動きはない。
次はどうなるのやら?
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株は、米日独の連動が続いている。しいて言えば、米国株が日独より、やや強い。
これだけ連動していれば、何か共通の因子があるはずだ。
やっぱり、米国の金融政策と中国景気だろう。
米国の金融政策は動きようがないので、中国経済、それを反映する銅価格、豪ドル相場に注意だろう。
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雇用統計(6月)が7月2日(木)に発表される(独立記念日の関係で今回は金曜日の発表でない)。
前月比+3,000千人程度が予想されているようだ。

非農業部門雇用者数前月比増減は、基本は新規失業保険申請件数から推計される。失業保険請求件数は週次データで、既に発表になっているからである。新規失業保険請求件数が増えると、それだけ雇用が失われたということで非農業部門雇用者数にはマイナスである。そういう理屈で推計する。
これに、様々な他の要素も勘案し、最終的な予想を行う。
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直近の状況は、上のグラフにおさまりきらない。スケールを変えると
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最近の部分を拡大すると、
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これからいくと、非農業部門雇用者数は6月に、なんとなく+5000千人くらいにはなりそうだ。

しかし、今回はそう単純にいかない。新規失業保険請求件数と失業保険継続受給者数は、通常似たような動きになるのだが、今回は大きく違うのである
(グラフは略)

結局、6月の非農業部門雇用者数前月比増減は、私も+3,000千人と予想している。
雇用は回復してきてはいるが、5月で職場復帰が可能な人は既に職場復帰を果たしたと考えているからである。これからは、回復が鈍くなると考えている。

なお、これは重要なことだが、雇用統計は通常、追加データにより2回修正される。つまり、6月のデータは7月2日に発表になるが、8月、9月に修正される。大きく修正される場合もある。つまり、正しく予想しても、最初の発表データの方がズレているということもある。

参考まで、時給労働者の労務管理サービスなどを提供する「ホームベース」が日ごとの雇用データを提供しており、それによると、米労働市場は『6月に入っても引き続き順調に回復(連銀エコノミスト)』しているようだ。

フルレポートは、次で。
レポート | 神谷経済金融リサーチ





商品価格指数(特にLMEXのようなベースメタル指数)は、世界経済成長率と高い相関があります。
ところが、今回は世界の経済成長率が大きく鈍化する中で、商品各指数の下落は僅かにとどまっています。
勿論▲100%より大きなマイナスにはなりませんが、それでも前年比▲50%にはなってもいいほど経済成長率が低下しているのですが、▲10%程度に留まっています。不思議です。
一つ考えられるのが、この商品価格下落を買いチャンスと見て、中国が原材料を買いあさってため込んでいる可能性です。
いずれにしろ、これ以上のコメントはありません。
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日本では、TOPIX(又は日経平均)のEPSを集計・算出して、一般に公表しているのは日経だけだ。
・東証は、実績を集計しているが、発表が遅く、後で確認のために見るだけだ。昨年度(2020年3月期)のデータもまだ発表になっていない。
・購読ということであれば、IBES、Factset、Bloombergも集計している。証券会社も独自に集計している。東洋経済の個別企業データは有名だが、TOPIXベースのEPSは算出していないと思う。
・米国ではS&P社、IBES社、FactSet社がネットで公表している。Bloomberg社も集計しているが購読ベース(Professional)だけである。

EPSはまとめていないが、上場全企業の業績はQUICK社が集計・公表している。
QUICK Forecast企業業績(QUICK Money World)
6/16時点のデータを見ると、今年度の全産業の売上高は前年度比▲5.4%、経常利利益は同▲5.1、当期利益は同▲0.3%となっている。
昨年度は減損が大きかったので、当期利益は僅かnのマイナスになるということだろうか?
しかし、そんなことが信じられようか。当たり前だが、ここのデータを今後見続けていくと、けっこう違っていく。やはり、自分自身なりに、しっかり予想することが重要だ。

やはり、EPSは算出していないが、TOPIX企業の合計の業績を東洋経済は発表している。四季報によれば、純利益の前年比は昨年度が▲30.1%、今年度予想が▲13.3%、来年度予想が+38.8%である。

私の推計・予想は、
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さて、業績予想(向こう1年間)と株価の関係を見てみると、最近ではありえない乖離が起きている。
もちろん、株価は足許の業績で決まるわけではない。長期的なキャッシュフローの現在価値になるのが妥当だから、足許の業績とは乖離してもおかしくはない。
しかし、おかしくはないが、おかしいと思ってしまう。
いつのときも相場が正しいのだが、変だと思えば、やっぱり変だったということもある。
1987年のブラックマンデーの時もそうだった。4月頃からおかしいおかしと思っていたが、そういう状態が続くので、8月には理由をこじつけて「おかしくない」ということにした。そうしたら、10月に大暴落が起きた。
禅問答のようになってしまった。
いったいこれを、どう解釈して、今後の株価予想をすればいいのか?
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東急(株)(9005)が弱い。業績見通しが不振なのでやむを得ないかもしれないが、同様の状態の小田急は堅調だ。
2015年以降、東急と小田急電鉄(株)(9007)は似たような動きをしてきた。
しかし、ここにきて両者の動きは股裂きのようだ。
たぶん、特定の株主(たぶん、海外投資家)が保有を外しているのだと思うが、何を思ったのだろう?
9005--9007

相対株価(東急株価/小田急株価)で見ても明白だ。
小田急売り(信用売り)、東急買いをしたくなるが、どうだろう?
9005-9007

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