米国の今後の金融政策を考えると、訳が分からなくなってしまう。
(1)この40年間はディスインフレだったので、FRBは専ら景気(雇用)のことだけを考えてきた。しかし、これからは、インフレ抑制を最優先するという。これまで構築した各種経済モデルは役に立たないかもしれない。No model can explain the current situation. グリーンスパン議長の有名な言葉だ。(検索してもでてこないが、グリーンスパン議長がこれを言った翌日、Brown Brothers Harriman のストラテジストが来日して私の会社に訪問に来たが、この言葉の意味することについて論議になったので、よく覚えている。)
(2)70年代を参考にしたいが、パウエル議長は70年代の失敗の二の舞を踏みたくないという。70年代とは違う展開になるということだ。
(3)難しいのは 実質金利がマイナスで依然大幅金融緩和状態だということ。それをそう感じないのはリーマンショック後、常に金融緩和で景気を支えてきたからだ。ここからは、金利を物価上昇率より高くもっていくのではないか?

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話を日本の金融政策に持っていくと、
日銀が目指すのは ディマンドプルの物価上昇で、資源価格高騰によるコストプッシュインフレではない。そして、ディマンドプルを促すのは賃金上昇である。
その意味で サービス価格が注目される。
一部では高級品のディマンドが高まり、高級品のインフレが起きている。これは、日本の政策に問題があるということだろう。何度も言うが、今、日本に必要なのは分配政策である。それが成長戦略につながっていく。岸田首相は分配を掲げて総理になったが、なったとたん引っ込めてしまった。岸田氏の目標は総理になることだったのだろう。あの手帳はどうなったのだろう? 一たび総理になれば、できるだけ長く続けたいというのが目標だろう。国内経済はどうでもいいようだ。

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米国では、経済成長が減速すると、物価上昇率は高まる。

そんな馬鹿なと思うだろうが、データが示している。

経済成長をISM指数で計る(ISM指数はGDP成長率と連動しているので)と、次のグラフに見るように、ISM指数が拡大しているときは、消費者物価上率は低下する。逆も真である。つまり、景気が減速しているとき(ISM指数が低下している時)は、消費者物価上昇率は上昇する。
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右目盛りを上下逆転すると、こういう具合だ。
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以上が正しければ、利上げして景気を悪化させても、物価は上昇して、(利上げは)逆効果ということになってしまう。
これではFRBは何をしているのかわからない。

勿論、そんなことはない。実は、景気と物価の関係は次のようになっている。

以下略。

米 景気が悪化すると物価が上昇する摩訶不思議 - GogoJungle