新型コロナ: 米消費者物価、5月8.6%上昇 約40年ぶり水準更新: 日本経済新聞

米労働省が2022年6月10日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率が8.6%となった。3月の8.5%をさらに上回り、40年5カ月ぶりの水準となった。新型コロナウイルス禍で控えていた旅行などの「リベンジ消費」も夏にかけて物価を押し上げ、インフレは高止まりしそうだ。米連邦準備理事会(FRB)による急ピッチの利上げが長引く可能性もある。

一応、データを確認しておこう。
その前に、一言。
Fedが食品とエネルギーを除くコアCPIを重視するのは、
家計が食品とエネルギーを除いて消費するわけはなく、消費者にとっては総合物価指数が重要なのは言うまでもない。政治的にも総合物価指数が重要だ。
Fedの物価目標も消費支出全体を反映する個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)のデフレーター上昇率だ。コアPCEデフレーターではない。
それでも、食品とエネルギーを除くコアCPIを重視するのは、
(A)CPIはPCEに比べて発表が早い。
(B)食品とエネルギーは価格変動が激しく、1回1回のデータで物価の上下動を判断するのは無理。
(C)総合物価指数は中長期的にはコア物価指数に収れんする傾向がある。(以前、元FRB副議長のアラン・ブラインダー氏からオンラインミーティングで聞いた)
(D)食品とエネルギーは、FRBがコントロールすることが難しい。食品価格が上がっているからといって、FRBが消費者に食事を控えろとは言えない。

(1)まずは、Fedが真っ先にチェックするコアCPI前月比。前年同期比より変化が早く見られるからだ。数カ月前、イエレン財務長官( 前FRB議長)もそう言っていた。
3月は物価上昇沈静化が見られたが、4月、5月と悪化(上昇率が上昇)している。これに金融マーケットは反応した。
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(2)次に、物価に与える影響が比較的大きい中古車を除く物価。そして、賃金を比較的反映するサービス価格の指数。どちらも前月よりは少し改善したと言えども、十分に高すぎる。
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(3)仮に超希望的に今後前月比0.25%の上昇が続いたとして、前年同月比ではどうなるか?
ちょっとやそっとで利上げを止められる状態にはならなさそうだ。
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インフレ率を目標の2%に戻すためにリセッションが必要だろう。
そのためには、6月、7月、9月に0.5%の利上げが予想される。11月も0.5%利上げがあるかもしれない。そして、12月には3.0-3.25%にまで引き上げられる可能性もあろう。その後は様子見ということになると思われるが、先のことなので、それまでに何かが起きる可能性は高い。
ロシアのウクライナ侵攻によるコモディティー市場の混乱や中国での厳しい新型コロナウイルス対策に起因するサプライチェーンの問題がどうなるかは、予想が難しい。