Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

私は、投資判断ではMACDを重視しています。
ただし、MACDはシグナルが出るのが遅れること、ダマシもあることなどから、ファンダメンタルズ分析と併用しています。そして、シグナルが出る前にアクションを取るようにしています。ファンダメンタルズ分析では相場の方向性も考えています。

そのMACDは、日米株、豪ドルとも6月中旬(11日~15日)頃に売りシグナルがでました。
米株や豪ドルは5月半ばにダマシがあったように、盲目的に信用はできませんが、ダマシが2回続くことは稀で、今回は下落相場が続いていると判断しています。勿論、相場ですから一直線に下落することはなく、上下動はあるでしょう。
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豪ドルはグローバル経済を反映することが多く、その意味で、株式相場を考えるうえでも参考にしています。
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日本株相場は、なが~い間(1994年頃から)海外投資家が支配してきた。海外投資家が買えば上がるし、売れば下がるというわけだ。
それが、4月の中旬から、海外投資家が売り越していても株価は上昇するようになった。
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何が起きたかって?
やはり、日銀のETF買入上限引き上げが大きかったということだろう。
年間6億円では海外投資家に対抗できなかったが、12億円では御することができるようになったと考えてよいだろう。
部門別の需給動向を見ると、日銀のETF買いは海外投資家の売りをほぼ吸収していることがわかる。
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そういうことであれば、相場はどのように決まっていくのだろう。

日銀は海外投資家の売りには買い向かうが、海外投資家が買うときには様子見だ。
つまり、海外投資家が買うときは株価は上昇するだろう。
どういうとき海外投資家が日本株を買うのか?
(1)好循環による経済成長(バブル崩壊以降はない)
(2)金融緩和(異次元の金融緩和が有名)
(3)財政刺激(バブル崩壊後何度かある。今は財政的に難しい。)
(4)技術革新(めったにない。誰も持っていなかった携帯の普及時など)
(5)経済の構造改革・変化
    企業の海外進出は、国内経済が停滞していても、企業収益が伸びることもある。
    しかし、今のように世界経済が軟調になると、それもポジティブ要因にはな
    らない。
    また、大規模な規制緩和などが行われれば、経済構造が変わる可能性があるが、
    期待薄。実際には起きない。
(6)テクニカル要因(空売りを踏みあげられたときなど)
(7)その他(具体的には思いつかない)

では、海外投資家が買わないときは、海外投資家の売りは日銀が吸収してくれるので、その他の投資部門の動きで決まるだろう。

目先は自社株買いは難しいだろう。
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すると、年金や個人しか残らない。

年金や個人はどういう売買をするか?
基本的には、年金はリバランス、個人は逆張りだ。
これでは、相場は形成されない。

結局、需給で相場を予想するのは難しいということだ。
相場は需要と供給で決まるが、量ではない。需要と供給が折り合う価格ということだ。そして、事後的には需要と供給の量は一致する。当たり前だ。誰かが買えば誰かがそれを売っているのだから。
よく新聞に「個人が買っている」とかあるが、それは事実だが、その裏には必ずそれを売っている投資主体がある。それが海外投資家なら、記事は「海外投資家が売っている」ということでもいい。

最後に、では、需要と供給が折り合う価格とは?
それは長くなるので、今回は言及しないことにする。
しかし、一律の法則はないように思う。

最後の最後におまけ。
海外投資家の先物のポジションを反映する裁定取引残だが、現在異常なくらいのマイナスになっている。つまり、海外投資家のショートが記録的な水準になっているということで、これの買戻しが続くと思われる。海外投資家は、long onlyの長期投資家は現物を売ってくると思うが、ヘッジファンドなど短期の投機筋は先物のショートを買い戻す動きが中心になるだろう。
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