Kecofinの投資情報

市場歴約40年の元証券投資ストラテジスト・ファンドマネージャーが、経済、市況分析情報を提供します。

金価格上昇。COMEXの金先物8月限は1オンス=1800.50ドルで終了。
背景は、低金利に加え、先行きのインフレ懸念。

まずは、金利との連動。
金の価値はその信用力だ。しかし、金利がない。
金利が低下すれば、相対的に金の魅力が増す。
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しかし、ここにきて金利の低下がないのに、金価格は上昇。
理由は、市場のインフレ期待が高まっていること。
インフレ連動債の利回りから計算される期待インフレ率が上昇している。
Fedの超金融緩和がさらに続く見通しであるが、ここにきて各種景気指標が急回復しているからだ。
この日は、6月の米消費者信頼感指数が2011年以来の大幅上昇となったことが発表された。
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市場のインフレ期待が高まっているのに、FedはYCC(イールドカーブ・コントロール)を導入という話が出るくらいで、金利は低位で安定している。

投資家は、年金やソブリンウェルスファンドなどのlong onlyの長期投資ファンドと、ヘッジファンド、CTAなどの短期の投機筋に分かれる。

日本株で相場を決める最大の投資部門は海外投資家である。
海外投資家のうち、短期の投機筋は主に先物を利用する。
そのフローの動向は、東証が発表する投資部門別取引状況でわかる。
但し、ポジション(残高)は発表されない。
なので、説明は省略するが代替指標として裁定取引残をみる。

一方、米国では、CFTC(全米先物取引委員会)が、各取引所に建て玉の公表を義務付けている。
参加者の分類は2種類あるが、非商業部門(いわゆる投機筋)と商業部門などの分類が古くからあり、投機筋のポジションがわかる。
この中で株式について注目されるのが、E-MINI S&P 500 STOCK INDEXの先物ポジションだ。レギュラーのS&P500より圧倒的に出来高が多い。

以上が、前置き。
最近の注目は、いわゆる投機筋であるヘッジファンドが、米国株に対するショートポジションの解消を急いでいることだ。新コロショックで、ショートを積み上げてきたが、相場は逆に上昇を続け締め上げられ気味だが、とうとうポジションの手じまいを急ぎ始めたようだ。

S&P500のEミニ先物の投機筋のポジションのグラフが次である、直近週で急速に買い戻し、ショートポジションを圧縮している。週間の圧縮幅は2007年以来で最大。圧縮前は、ショートポジションは差し引きで約10年ぶりの高水準に達していた。
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実は、米国の投機筋は、先物だけでなく、S&P500ETFの空売りも行っている。short interestという。ここ数年はこちらの方がメインかもしれない。
残念ながら、私はデータを持っていないが、Bloombergニュースによれば、『SPDR・S&P500ETFの空売り比率は6月26日に4.9%と、5月末の6.7%から低下し、ショートカバーの動きを示していた。』とのこと。こちらもショートの圧縮を図っているようだ。

こうした動きから相場予想ができればいいのだが、難しそうだ。
ただ、ショートポジションが大きければ、潜在的な買戻し需要があるが、ショートポジションがなくなってくれば、そうした需要は低下する。
一応、強気材料がひとつ消えつつあると言っておこう。

今の株式市場を支えているのは、FEDの「超金融緩和政策」と「信用力の低い企業への資金繰り支援」.。
(1)この政策の下で、経済が回復に向かっていると、株価は堅調になる。
心配なのは、
(2)Fedの超金融緩和があっても、新コロ第2波でeconomic collapseが起きる場合。。
(3)当分は心配なさそうだが、経済が強い回復を示して、Fedの金融政策が超緩和から正常化へ転換しても株式相場に影響が出るかもしれない。

Bloombergやロイターニュースによると、
6月29日の米国株式市場は上昇した。全米不動産業者協会(全米リアルター協会、NAR)が発表した5月の中古住宅販売成約指数が、前月比44.3%上昇して99.6と、統計を開始した2001年以来の大幅上昇となり、住宅市場が持ち直し始めていることを示唆したからである。
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背景は、新コロ対策の活動制限で春の住宅販売シーズンは中断していたが、住宅ローン金利が過去最低に下げ、一部の州でのロックダウン(都市封鎖)解除が追い風となったこと。

但し、新コロ感染拡大を抑えるための封鎖措置により経済がほぼ停止状態となった前の2月に付けた111.4は下回っており、また、前年同期(105)と比べても低く、Fedが超金融緩和を正常化に戻すような状態になるまでは至っていない。

問題は、依然新コロ感染拡大が続いている中で、住宅市場の回復が続くのかということである。

なお、この日、U.S. air-safety regulators resumed key flight tests of Boeing Co.‘s 737 Max, with the aim of returning the planes to service around the end of the year.  これを受けて、ボーイングの株は10%近く急騰し、市場のムードを盛り上げた。
原油価格の下落でシェールオイル関連企業が苦境に陥っている。Chesapeake Energy Corp.(CHK)は28日チャプター11を申請した。

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