1年というベースでは、日銀のETF購入効果は結構ある。
赤線は「海外投資家の日本株現物・先物買越額(52週計)」である。最近は(一時期を除いて)かなりの売り越しが続いている。
青線は「日銀によるETF購入額(52週計)」である。
黒線は両者の合計である。日銀が海外投資家の売りをカバーしており、両者合計では殆どマイナスになっていない。
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しかし、短期的(ここでは4週計)に見ると、日銀の買い効果はほとんど見えない。
赤線(海外投資家売買動向)と黒線(日銀+海外投資家 売買動向)は殆ど同じに見える。
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やはり、以前のように、年6兆円程度をコンスタントに買っていく買い方では、短期的に動きの大きな海外投資家の売買をカバーできない。

しかし、今は上限が年12兆円になった。しかも、『市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動しうるものとする』とし、ほぼ自由だ。これは、いざとなれば、大きな金額をつぎ込める。これは心強い。
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グラフを見ても、海外投資家の売りは大きくても、4週計で約4兆円である。今なら、日銀にその対応力はある。
参考のため、今年度(4月1日~10月29日)の日銀ETF購入額は4兆179億円。年に12兆円が上限なので、残り5カ月(11月~来年3月)でおよそ8兆円の買い余力がある。
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日銀に加え、2020年9月30日~2020年11月16日までNTTによるドコモの公開買付、約4兆円がある。取引所の取引として計上されないが場外支援となる。6週で4兆円は大きい。

需給面では、日本株は大きな見方がいる。日銀は相場を押し上げるつもりはないが、下支え効果は十分に期待できるだろう。

<日銀の金融政策>
ETFについて、年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に買入れを行う。
原則的な買入れ方針としては、保有残高が年間約6兆円円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、市場の状況に応じて買入れ額は上下に変動しうるものとする。