タイトルはBloomberg記事のパクリ。
日経平均は終値で昨年末水準上回る-「形の上ではコロナ超え」
日経平均株価が3月安値後、初めて昨年末の終値を上回った。新型コロナウイルスが本格的に流行する前の相場水準を回復したことで、株式市場では一つの区切りを迎えたとの声が出ている。
但し、TOPIXベースではまだである。TOPIX : 指数 : スマートチャートプラス : 日経電子版
日経平均も『昨年末水準上回る』といっても、急上昇しているわけではない。
それでも、しっかりしている。

日本にはGAFAM等大規模時価総額テクノロジー企業(mega-cap-tech-stocks)があるわけではない。金利効果もない。それでも、しっかりしている背景は。やはり日銀のETF買いである。特に、3月後半の1回あたり2004億円の買い効果は大きかった。ちなみに、4月に入ると1回あたりの購入額は1202億円、5月からは同1005億円、8月からは803億円、10月には701億円となっている。
日銀は3月にETF購入を年12兆円に倍増したのに、2月以前の703億円の規模に戻ってしまった。もう1回に2000億円も買う必要がないのだろう。現に相場はしっかりしている。

日本株の需給を見てみよう。
目に付くのは、
(1)薄緑(日銀のETF買い)の買い。
(2)赤(外人)の売り。
(3)10月9日に終わる週に、外人が今年最大の買いをしている(理由不明)。
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週ごとでは傾向がわかりにくいので4週平均で見ると、
20201019n
13週(3カ月)平均で見ると、
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日銀のETF買いと(自己-日銀のETF買い)が相場を支えていることが明瞭である。

自己-日銀のETF買い)とは何か?
これを詳しく説明すると長くなるので省略するが、相当部分は海外投資家の先物売買を反映していると考えられる。次のとおりである。
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結局、ここにきての日本株堅調は日銀のETF買いと海外投資家の先物買いを反映しているとういうことだ。
(全てではない。GPIF以外の公的年金の買いやNTTのドコモ株公開買付け効果などもある。親子上場解消の動きもあろう。なお、公開買い付けは取引所内の売買ではないので投資部門別売買状況には表れない。)

ところで、海外投資家は現物を売る一方で、何故先物で買っているのだろう?
実は、主体が違う。現物を売っているのは、主にオイルマネーだろう。原油価格の下落により、OPECなどは資金不足に陥っているからだ。一方で、先物売買をしているのはヘッジファンドなどだ。グラフを見るとわかるが、彼らは年前半に先物を売りまくっている。それを、今徐々に買い戻しているようだ。そして、年前半に先物を売りまくったとき、相場が崩れるのを防いだのは日銀のETF買いだ。
結局、しっかりした相場は日銀によって支えられたということである。

最後に、(私には)事情はよく分からないが、事業会社は新型コロナ感染拡大以降自社株買いが減少していたが、ここにきて事業会社の買い(自社株買いとは限らない)が出てきている。相場を押し上げるほどではないが、相場にポジティブである。
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